dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第42回人権理事会:(8・9回会合)非自発的失踪ならびに真実と正義に関する双方向対話(韓国と日本による慰安婦問題への言及)/高齢者ならびに開発権に関する双方向対話


文書番号:——

ノート:

  • 真実、正義、賠償および再発防止の保証の促進に関する特別報告者との拡張双方向対話で韓国が慰安婦問題に言及。韓国は「以前の取り組みは被害者中心のアプローチが欠けていたことを謙虚に認めている」云々。日本側も声明で「最終的かつ不可逆的に」解決されたことを確認した、合意を確実に履行することが重要と反論、昨年のこの会合と同パターンのやり取り(下記参照)。いわゆる「徴用工」もんだいには言及していない(例によって北朝鮮が発言するであろうが——下記17日会合参照)。

    韓国は二度目の答弁権も行使して多くの人権機関が確認している云々、日本側は90年代の調査で「強制連行」は確認されなかったことや吉田証言および「大手新聞社」の謝罪などに言及して反論した。原則論を押さえておくのは重要だが、「真摯に対応して来た」と(だけ)説明するのが韓国の主張を補強し、国際社会が合意を歓迎しているというのも同様に韓国の主張を認めて対処したと理解されていることに無自覚なのも相変わらず(事実関係の説明においてしつこく二度目の答弁権を行使してもらって逆にありがたかったという感もある)。なお、今回の報告書 A/HRC/42/45(英語(PDF))に上掲昨年の会合での報告書が言及していた日本(およびその他11か国)への訪問のための招待要請は「依然として保留中」とある(パラグラフ6)。また、3月19日には韓国の済州で開催された「国際人権基準:韓国の真実と正義」と題されたシンポジウムにファビアン・サルヴィオリ特別報告者が参加したと(パラグラフ20)。「韓国の真実と正義(truth and justice in South Korea)」… 特別報告者への仕込みもバッチリといったところか。

  • 日本は声明で韓国に反論する前に強制・非自発的失踪に関する作業部会報告について発言、北朝鮮拉致問題について提起した。中国がウイグル問題について発言。作業部会報告書 A/HRC/42/40(英語(PDF))*1 が「とくに懸念される状況に関して、以下の国別所見を行なう」としてバングラデシュブルンジ、エジプトなど計11か国とともに言及していた(北朝鮮は無し)。また、2013年に訪問招待を要請し、2014年、2015年、2016年、2018年、2019年にリマインダーが送信されたが、政府からの回答はまだないとの由(パラグラフ69、70)。中国は答弁権も行使して反論。

  • 歴史の真実を求める世界連合会(GAHT-US)が慰安婦問題について意見書を提出し、サイドイベントを開催した模様。

    国連公式文書システム(英語):
    A/HRC/42/NGO/29「提案概要:HRCは、HRCがこのような問題を長時間解決できない理由を検討する必要があり、この問題を再調査する必要があると結論付け得る、さもなければ、HRCは、韓国に最終的な解決策を求めるためにICJにこの事案を提出することを推奨する必要がある」(2019年8月22日)(英語(PDF))

  • 真実の力[Truth Foundation]より済州ダークツアー[Jeju Dark Tours]*2 のペク・カユン代表が、在日朝鮮・韓国人の多くを占めることになったとされる済州島四・三事件を提起し「米国責任論を強調」。1947年から1954年にかけて済州島で約30,000人が虐殺された、韓国政府(The South Korean government)と当時作戦統制権を握っていた米国は、警察の弾圧と国の分断に反対して武器を取った人々を厳しく弾圧した云々。「今こそ正義をもたらし、特別報告者により推奨されたように朝鮮戦争の犠牲者に賠償金を提供する時である」*3 。真実の力財団(本部ソウル)は2016年に ECOSOC 特殊協議資格取得 *4 、「米国責任論」… この調子で暴走(?)していただきたい(?)——どちらの NGO も従北団体であろうし、そうでなくても日本非難にも加わって来ることもあるだろうが、それはそれで逆の効果をあげる気もしないでもない。先般すこし話題になった下記も提起して共闘してはどうか。

    中央日報/2019年03月22日

    また、12日には「韓国の奇跡の定義転換—済州4・3と朝鮮戦争」「日帝強制占領下の人権侵害—慰安婦と強制動員」と題するサイドイベントが開催され([追記」:GAHT-US の報告によれば後者は日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連、旧挺対協)主催だった模様 *5 )、アン・ギョンホ4・9統一平和財団事務局長とキム・ジョンミン元4・3中央委員会専門委員が「真実和解委員会の9年、韓国の真実と正義」「焦土化作戦と米国の責任」をテーマとした発表を行ない、13日には本部前広場で街頭デモを行なったとの由。オ・スンイク済州4・3遺族会国際連帯フォーラム委員長:「公式発言、討論会、集会などを通じ、国連人権理事会で初めて4・3を知らせる大切な契機となった。遺族会次元で過去の歴史関連市民社会団体とともに4・3の真相究明と名誉回復のための国際的活動を継続したい」。

    チェジュウィソリ[済州の音]/2019年9月16日(朝鮮語

    「済州四・三事件関連団体、国連で米国責任論を強調」

  • 双方向対話続き(9回会合)で反差別国際運動(IMADR)が発言。

    反差別国際運動ウェブサイト(英語版)(※日本語版ページ未掲載)

    スリランカにおける強制失踪(HRC42、2019、共同 OS)

    [追記]その後日本語版ページ掲載

    なお、前回セッションでもフランシスカン・インターナショナルと共同でスリランカについて発言していた(下記)。

  • 午後の、高齢者によるすべての人権の享受に関する独立専門家および開発権に関する特別報告者との拡張双方向対話で中国が発言。

  • (外務省声明)

    声明掲載なし。

  • UN Web TV

    拡張 ID:非自発的失踪に関する WG および真実と正義に関する SR - 42回人権理事会定例セッション、8回会合

    チャプター36:韓国/チェ・ウォンソク(Won-Seok Choi)政府代表
    チャプター39:中国/ヤン・ジンジー(Yang Junzhi)政府代表
    チャプター50:日本/中込正志在ジュネーブ政府代表部公使
    チャプター63:真実の力/ペク・カユン(Gayoon Baek)済州ダークツアー代表

    拡張 ID(続き):非自発的失踪に関する WG および真実と正義に関する SR - 42回人権理事会定例セッション、9回会合

    拡張 ID(続き):高齢者に関する IE および開発権に関する SR - 42回人権理事会定例セッション、9回会合

    チャプター32:中国/劉華(リウ・ホア/Liu Hua)政府代表
    チャプター36:中国(答弁権)/[劉華(リウ・ホア)政府代表]
    チャプター38:韓国(答弁権)/[チェ・ウォンソク政府代表]
    チャプター42:日本(答弁権)/[中込正志在ジュネーブ政府代表部公使]
    チャプター48:韓国(答弁権)/[チェ・ウォンソク政府代表]
    チャプター52:日本(答弁権)/[中込正志在ジュネーブ政府代表部公使]

掲載URL:——


2019年9月16日

*1:「作業部会は援助供与国、とりわけフランス、日本、韓国によって提供された自発的寄付を含む継続的な支援に感謝する」とある(パラグラフ18)。

*2:済州ダークツアーホームページ(英語)

*3:特別報告者は犠牲者への賠償について述べただけで朝鮮戦争に直接言及している訳では無いようである。更に付記すれば、カユン代表の発言も特別報告者が一般論として述べた内容に言及した上でのもの。

*4:国連経済社会局「統合市民社会組織(iCSO)システム」(英語

真実の力財団[재단법인 진실의힘]ホームページ

*5:「突っ込みどころ満載の中身のない講演」と報じているが、GAHT-US のメンバー以外の聴講者の多くは真剣に受け取めていたのであろう。残念ながら「満載」の割にはあまり「突っ込み」も(呆れてしまい(?))行なわなかったようである。