dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第36回人権理事会:高等弁務官の口頭報告に関する一般討論


文書番号:HRC/17/121E

ノート:

  • 前日の口頭による現況報告では言及されなかった(はず)の中国、北朝鮮だが(下記関連エントリ 2017-09-11 01:00 参照)、きちんと(?)反発している。中国:「法の支配の国である中国」。

  • それぞれを下記の締約国政府、NGOが言及、非難。

     (国連NGOの本部はこちらで確認)

  • 欧州広報連合が北朝鮮に言及しているが、おもにパキスタンの核開発を非難する文脈。実際の発言内容は確認しておらず、また、この地域への関りも深いのかもしれないが、このタイミングで北ではなくパキスタンを非難するのも当方などの感覚ではよくわからない。ただし、パキスタン核兵器に限定されないが、13 もの NGO が言及している(各国政府はゼロ)。ミャンマーに対しては 14 の政府と 4 の NGOなお発言した政府、NGO の(表計算ソフトにコピペ/ソートしてザっと拾った)数は、それぞれ 102 、52 である。

  • 北朝鮮の日本非難に、いつもの「歴史の真実ガー」「慰安婦ガー」が無いが、ここでは時間不足?、続きは午後に持ち越し(関連エントリ 2017-09-12 02:00 参照)。韓国は北朝鮮の核開発を非難。

  • 「政治危機を乗り越えた最近の韓国における一連の出来事」とは、朴槿恵大統領の弾劾騒動を指すとおもわれるが、胸を張って開陳されてもいささか鼻白まされるものがある(特別報告者訪問の受入れを大威張りで語る、北朝鮮の方が少なくともこの場には相応しい)。ほかの会合でも吹聴しているのを目にするのだが、民主主義の成熟度、「人権保護の鍵」であるところの「法の支配」への心もとなさの裏返しのように感じてしまうのであった(鵜の目)。

  • 反差別国際運動(IMADR)ジュネーブ事務所の小松泰介氏が、アメリカ(大統領を非難)、ロヒンギャスリランカに言及。

    アメリカ合衆国ヘイトクライムミャンマーロヒンギャスリランカの移行期の正義」(HRC36, 2017, OS)

  • 反差別国際運動声明文(国連公式文書システム
    スリランカについては、アジェンダ項目3「開発権を含むすべての人権、市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利の促進と保護」(会合は9月15日18日)として声明を提出している。

    スリランカにおける強制失踪」(A/HRC/36/NGO/147)なお同 NGO は、フランシスカン・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、マイノリティ・ライツ・グループ・インターナショナルと共催でスリランカの普遍的定期的審査に関するサイドイベントを開催(上掲「国連人権理事会36会期報告(2017年9月)」参照)。

  • 国際キャリア支援協会から杉田水脈氏が発言。上で韓国にいちゃもんを付けたが、こちらもこの要約では少々場違いな印象を受けなくもない。また歴史問題で揉めてるらしい、政府が後押ししてなんか怪しげな活動してんの?くらいは伝わるか。このプレスリリースでは何がどう「人権問題」なのか一般の理解は難しそうだが、声明文を提出し、多くの政府関係者が参加する高等弁務官報告の一般討論で発言したのは多としたい。途中で時間切れとなった(下記 UN Web TV 参照)。

  • 国際キャリア支援協会スピーチ(英語/日本語)(「「慰安婦の真実」国民運動」ホームページ)

  • 国際キャリア支援協会声明文(国連公式文書システム)
    「韓国政府の関与による日本国民への人権侵害」(A/HRC/36/NGO/145)

  • ヒューマン・ライツ・ウォッチの「国連の人権メカニズムを弱体化させる中国の体系的な取り組みを詳述した報告」とは、“World Report 2017” であろうか。日本ほかについてのレポートも確認できる(PDF)。

  • ( UN Web TV の映像より)
    チャプター19:スイス/ヴァレンティン・ツェルヴェガー(Valentin Zellweger)在ジュネーブ政府代表部特命全権大使(人権理事会副議長)
    チャプター20:日本/志野光子ジュネーブ政府代表部大使
    チャプター31:中国/ジャン・ドゥアン(Jiang Duan)在ジュネーブ政府代表部公使参事官
    チャプター40:韓国/チェ・キョンリム(Kyong-Lim Choi)在ジュネーブ政府代表部特命全権大使
    チャプター77:北朝鮮/崔明男(チェ・ミョンナム/Choe Myong Nam)在ジュネーブ政府代表部次席大使チャプター23:反差別国際運動/小松泰介氏(事務局次長、ジュネーブ事務所)
    ※ チャプター・リンクと説明文の、団体名の後半が落っこちて "International Movement Against All Forms(あらゆる形態に対する国際運動)" となっている。
    チャプター43:ヒューマン・ライツ・ウォッチ/ジョン・フィッシャー(John Fisher)氏(ジュネーブ・ディレクター)*1
    チャプター47:ユナイテッド・スクール・インターナショナル/ゲオルギウ・リシャチェンコ(Georgiu Liashchenko)氏
    チャプター59:欧州広報連合/ダニア・デルカシュ(Dania Derkach)氏
    チャプター74:国際キャリア支援協会/杉田水脈
    ※ 以前、伊藤和子弁護士もミスタイプされていたが(高めの「ミス(Ms.)」の「タイプ」ではない(失礼)。こちら)、杉田氏は "Ms. Moi Sugita" になっている。

  • 関連エントリ

掲載URL:https://unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/1A92F68E934DF407C12581990055C6AA?OpenDocument


HUMAN RIGHTS COUNCIL HOLDS GENERAL DEBATE ON THE HIGH COMMISSIONER’S ORAL UPDATE
人権理事会、高等弁務官の口頭報告に関する一般討論を開催

12 September 2017
2017年9月12日

The Human Rights Council this morning held a general debate on the oral update of Zeid Ra’ad Al Hussein, the United Nations High Commissioner for Human Rights, which was delivered at the opening of the Council’s session on 11 September.
今朝の人権理事会は、9月11日の理事会の開会で発表されたゼイド・ラアド・アル・フセイン国連人権高等弁務官の口頭報告に関する一般討論を開催した。

In the general debate, many delegations shared the view that Member States of the Human Rights Council were required to uphold the highest standards in the promotion and protection of human rights. Speakers firmly opposed any restrictions on civil society and condemned acts of intimidation and violence against human rights defenders and non-governmental organizations. Delegations agreed that the main responsibility for protecting human rights lay with governments around the world. Speakers highlighted that it was crucial to preserve the impartiality and non-selectivity of all the High Commissioner’s work in order to preserve its credibility. A number of States rejected references made about them in the High Commissioner’s update and outlined steps they were taking to promote and protect human rights.
一般討論において、多くの代表団が、人権理事会のメンバー国は人権の促進と保護において最高水準を維持することを要求されるという意見を共有した。発言者は、市民社会に対するあらゆる制限、人権擁護者や非政府組織に対する威圧的な脅迫行為や暴力に断固として反対した。代表団は、人権保護の主な責任は世界各国の政府にあることに同意した。発言者は、信頼性を維持するために高等弁務官のすべての仕事の公平性と非選択性を保つことが極めて重要であると強調した。いくつかの国が、高等弁務官の報告において行なわれた彼らについての言及を拒否し、人権を促進し保護するために取っていた措置を概説した。

[…]

General Debate on the Oral Update of the High Commissioner for Human Rights
人権高等弁務官の口頭報告に関する一般討論

[…]

Switzerland expressed concern at the worsening human rights situation and the escalation of violence in Rakhine state and called on the Government of Myanmar to abide by human rights obligations and to ensure rapid and unfettered access to all communities. The situation in Venezuela was also of concern, as was the increase of human rights abuses in the Central African Republic and the situation of individuals in China. Switzerland called on the Chinese Government to guarantee all human rights.
スイスは、人権状況の悪化とラカイン州での暴力の拡大に懸念を表明し、ミャンマー政府に人権義務を守り、すべてのコミュニティへの迅速かつ自由なアクセスを確保するよう求めた。中央アフリカ共和国における人権侵害の増加や中国における個人の状況のように、ベネズエラの状況も懸念された。 スイスは、すべての人権を保証するよう中国政府に求めた。

Japan said the draft resolution on the situation of human rights in Cambodia was important to Japan; there needed to be a constructive relationship between the Government of the State concerned, Member States, the Office of the High Commissioner for Human Rights and civil society. There had been no improvement in the human rights situation in the Democratic People's Republic of Korea. At the present session of the Council, a Special Rapporteur would be selected on the issue of the elimination of discrimination against persons affected by leprosy and their family members.
日本は、関係する締約国政府、メンバー国、人権高等弁務官事務所、市民社会とのあいだの建設的な関係が必要であり、カンボジアにおける人権状況に関する決議草案が日本にとって重要だと述べた。北朝鮮の人権状況は改善されなかった。理事会の今会合において、ハンセン病およびその家族の被害者に対する差別撤廃の問題に関する特別報告者が選出される。

[…]

China urged the High Commissioner to discharge his duties in an unbiased manner. The High Commissioner should fully respect the integrity and sovereignty of States and should not overstep his mandate. He should resist politicization in human rights issues and preserve the intergovernmental nature of human rights mechanisms. It was necessary to strengthen technical cooperation to enhance States’ capacity building. China was concerned that the geographical representation of the staff of the Council was seriously imbalanced. It regretted the unsubstantiated allegations of the High Commissioner on China which was a country of the rule of law.
中国は、高等弁務官に公平な方法で任務を遂行するよう強く促した。高等弁務官は、国家の保全と主権を完全に尊重すべきであり、マンデートの限度を超えてはならない。人権問題の政治化に抵抗し、人権メカニズムの政府間の性質を保持すべきである。締約国のキャパシティ・ビルディング[能力構築]を強化するために、技術協力を強化する必要があった。中国は、理事会のスタッフの地域的な代表の深刻な不均衡を懸念した。法の支配の国である中国に関する高等弁務官の根拠のない主張は遺憾だった。

[…]

Republic of Korea said that it was urgent to address the internal-external gap in implementing human rights commitments and to protect human rights defenders and civil society members. The recent series of events in the Republic of Korea, which overcame a political crisis, was a powerful testimony to the fact that the rule of law was key to human rights protection. The Republic of Korea condemned “North Korea’s” behaviour of striving to develop weapons of mass destruction while neglecting people’s basic rights and livelihoods.
韓国は、人権規約の実施における内外格差への対処および人権擁護者と市民社会のメンバーを保護することが急務だと述べた。政治危機を乗り越えた最近の韓国における一連の出来事は、法の支配が人権保護の鍵であったという事実への強力な証言だった。韓国は、人々の基本的権利と生計を無視しながら大量破壊兵器の開発に勤しむ「北朝鮮の」行動を非難した。

[…]

Australia remained deeply concerned about the escalation of violence in Rakhine state in Myanmar. It urged the Government of Myanmar to ensure that all civilians were protected and received humanitarian assistance. Australia also remained concerned about ongoing reports of extra judicial killings in the Philippines and the deterioration of the situation of human rights in Venezuela, Turkey and China.
オーストラリアは、ミャンマーラカイン州における暴力の拡大について、引き続き深く憂慮した。ミャンマー政府に対し、すべての民間人が保護され、人道的援助を受けていることを確認するよう強く促した。オーストラリアはまた、フィリピンでの法的に認められない殺害や、ベネズエラ、トルコ、中国における人権状況の悪化の継続的な報告について引き続き懸念した。

[…]

Democratic People’s Republic of Korea expressed its strong reservations to some references made by the High Commissioner in his update. It was opposed to politicization, selectivity and double standards in the field of human rights. The fact that the Special Rapporteur on the rights of persons with disabilities had been recently invited to visit the country was a testimony of its will to cooperate with the Council. The Democratic People’s Republic of Korea condemned the allegations made by certain delegates, notably Japan and “South Korea”.
北朝鮮は、報告において高等弁務官によって成されたいくつかの言及に強い留保を表明した。それは人権分野における政治化、選択性、二重基準に反していた。障害者の権利に関する特別報告者が最近この国への訪問を招待されたという事実は、理事会と協力する意志の証だった。北朝鮮は、特定の代表団、とりわけ日本と「南朝鮮」によって成された主張を非難した。

[…]

International Movement against All Forms of Discrimination and Racism expressed grave concern about the increase in racist manifestations which were undoubtedly encouraged by the new leadership in the United States. It also echoed the High Commissioner’s concern about the dire situation of the Rohingya and urged the Council to take meaningful action to hear their pleas. In Sri Lanka, the organization shared growing concerns regarding the slow progress in reconciliation.
反差別国際運動は、米国において新しい指導者によって疑いもなく奨励された人種差別的徴候の増加について深刻な懸念を表明した。ロヒンギャの悲惨な状況についての高等弁務官の懸念を喚起し、理事会に彼らの嘆願を聞くために有意義な行動をとるよう強く促した。同組織は、スリランカにおける和解の遅い進展について懸念の増大を共有した。

[…]

Human Rights Watch welcomed the High Commissioner’s report on the human rights and humanitarian crisis in Venezuela. Last week, Human Rights Watch had released a report detailing China’s systematic efforts to deflect criticism and undermine United Nations human rights mechanisms. Extrajudicial executions continued unabated in the Philippine Government’s so-called “war on drugs”.
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ベネズエラにおける人権と人道危機に関する高等弁務官の報告を歓迎した。先週、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、批判を逸らし、国連の人権メカニズムを弱体化させる中国の体系的な取り組みを詳述した報告を発表した。超法規的な処刑は、フィリピン政府のいわゆる「麻薬戦争」において衰えることなく続いた。

United Schools International underlined that the right to development was an inalienable right of all people to participate in the enjoyment of economic, social, cultural and political development. In Pakistan, the right to development was a distant dream for the people of Baluchistan. The situation there had been additionally aggravated by the Pakistan-China economic corridor.
ユナイテッド・スクール・インターナショナルは、開発権は、経済的、社会的、文化的および政治的発展の享受に加わるための、すべての人々の奪うことのできない権利であると強調した。パキスタンにおいては、開発権はバルチスタンの人々にとって見果てぬ夢だった。そこでの状況は、パキスタン中国経済回廊によってさらに悪化していた。

European Union of Public Relations reminded that a just social international order stipulated respect for international law, support for non-violent conflict resolution, and disarmament. Nuclear armaments in Pakistan posed a threat to the just social international order. Pakistan had an established history of sharing nuclear technology with “North Korea” and Iran.
欧州広報連合は、国際社会における唯一の国際秩序は、国際法への尊重、非暴力的紛争解決への支持、および軍縮を規定していることを想起させた。パキスタン核兵器は、公正な国際社会秩序に脅威を与えた。パキスタンは、「北朝鮮」とイランとの核技術共有の定着した歴史があった。

[…]

International Career Support Association raised the issue of the claim by the Korean Government on Japanese historical sites. The Government of the Republic of Korea was accused of financing a cyber group formed by nearly 100,000 students named “VANK” which was a sub-governmental organization to spread propaganda.
国際キャリア支援協会は、日本の歴史的遺産に関する韓国政府の主張の問題を提起した。韓国政府は、プロパガンダを拡散するための政府下部組織である、「VANK」 という10万人近くの学生によって組織されたサイバー集団に資金を提供していると非難された。

[…]


2017年9月15日

*1:「ジョン・フィッシャー | 人々」(ヒューマン・ライツ・ウォッチ