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答弁権のエソロジー

第36回人権理事会:ゼイド・ラアド・アル・フセイン人権高等弁務官による口頭報告における中国、北朝鮮への言及


文書番号:HC/17/57E(HRC/17/118E)

ノート:

  • 国連ジュネーブ事務局ホームページ「プレスリリース」より(とくに断りなき場合は、以降の当第36回人権理事会に関するエントリも同様)、理事会開会における人権高等弁務官の現況報告 HC/17/57E を抄訳。ノートでは、当該会議要約 HRC/17/118E との後述の比較を行った。

    現リンクパス:

    • (HC/17/57E)
      "Press Releases" ("What's On?") > "More Press Releases & Meeting Summaries" > "High Commissioner for Human Rights" > "List All" > "11 September 2017 UN HIGH COMMISSIONER FOR HUMAN RIGHTS ZEID RA'AD AL HUSSEIN HIGHLIGHTS HUMAN RIGHTS CONCERNS AROUND THE WORLD IN AN ADDRESS TO THE 36TH SESSION OF THE UN HUMAN RIGHTS COUNCIL IN GENEVA, 11 SEPTEMBER 2017"

    • HRC/17/118E)
      "Press Releases" ("What's On?") > "More Press Releases & Meeting Summaries" > "Human Rights Council" > "List All" > "HUMAN RIGHTS COUNCIL OPENS THIRTY-SIXTH REGULAR SESSION"

  • 最初に会議要約 HRC/17/118E(「人権理事会第36回通常セッションを開会」)の方を参照したが、人権高等弁務官の口頭報告に当ブログの観測対象への言及が見当たらない。そこで HC/17/57E の方を確認してみると、やはりこちらでは中国、北朝鮮の人権問題に言及しているのであった。いろいろ勘ぐってしまうが、どうやら会議要約が落としたのではなく、原稿にはあったが会合では言及しなかった模様( UN Web TV で確認。下記リンク先参照)。時間オーバーで端折ったのか、事前に報告で言及される締約国の承認等が必要なルールがあり、申し立てがあれば口頭報告から削除可能なしくみがあるのか等々不明(その場合でも原稿の方がそのまま公表されているが)。翌日の「高等弁務官の口頭報告に関する一般討議」での発言も要確認だが、こちらについては関連エントリを参照。

  • なおプレスリリースは、文書番号があっても「情報メディア向け、非公式記録(For use of the information media; not an official record)」とあり、簡潔・迅速に情報提供するためにはそうでもしておかないと「要約」してしまうことなど無理だろう。実のところけっこう雑(別の受け取り方をする向きもある?)な印象も無くは無い。下記など。

    また「要約」などせんでいいという議論もあろうが、UN Web TV も併用せよというところか(こちらはこちらで脱落が発生することがあるような。下記参照)。

    また、上記過去記事リンクの第60回拷問禁止委員会の締約国報告レビューのように、「公式」の「要約記録(Summary record)」が出る会合もあるが、こちらも詳細な発言録ではなく要約である(ただし訂正を受け付ける旨の記載があり、また、発行前に当事者も含むチェック手続きくらい踏んでいるのではなかろうか)。

    ちなみに、国連人権高等弁務官事務所ホームページのプレスリリースに掲載された人権高等弁務官の口頭報告(文書番号なし)の方は「より暗くより危険に:高等弁務官、40カ国における人権問題に関して人権理事会に報告(Darker and more dangerous: High Commissioner updates the Human Rights Council on human rights issues in 40 countries)」という、おどろおどろしいタイトル(報告の内容については HC/17/57E と同じとおもわれる)。

  • 高等弁務官報告 HC/17/57E と会議要約 HRC/17/118E の「人権高等弁務官による口頭報告」セクションで言及した国(地域)を拾って比較してみた。中・北以外も端折られており、会合では「40カ国」のうち19が報告から落とされていたのであった(拾い漏れの際はご容赦)。UN Web TV でもパキスタンの次にカンボジアに飛んでいるのは確認。この部分はワンカットで、編集されているようにも見えない(13分35秒 - あたり)。

          高等弁務官報告
    HC/17/57E
    言及国(地域)
    会議要約
    HRC/17/118E
    言及・採録
    01 ミャンマー
    02 バングラデシュ
    03 インド
    04 パキスタン
    05 スリランカ
    06 フィリピン
    07 中国
    08 ベトナム
    09 カンボジア
    10 モルディブ
    11 北朝鮮
    12 イエメン
    13 シリア
    14 イラク
    15 パレスチナ被占領地
    16 イスラエル
    17 パレスチナ
    18 エジプト
    19 バーレーン
    20 イラン
    21 ベネズエラ
    22 ブラジル
    23 ホンジュラス
    24 グアテマラ
    25 エルサルバドル
    26 米国
    27 トルコ
    28 ポーランド
    29 モルドバ共和国
    30 ハンガリー
    31 ギリシャ
    32 リビア
    33 中央アフリカ共和国
    34 南スーダン
    35 ブルンジ
    36 マリ
    37 スーダン
    38 コンゴ民主共和国
    39 エチオピア
    40 コンゴ共和国

    なお、会議要約では、冒頭の(さらなる)要約のパラグラフで「高等弁務官は、ミャンマーバングラデシュ、インド、パキスタンカンボジア、イエメン、シリア、エジプト、バーレーンベネズエラ、米国、トルコ、中央アフリカ共和国南スーダンコンゴ民主共和国ブルンジおよびマリにおける主要な懸念について議論した。」と、言及・採録した21の中から17カ国をさらに強調している。

  • UN Web TV

  • ダライ・ラマ法王日本代表部事務所 チベットハウス・ジャパン)

  • 関連エントリ

掲載URL:


UN HIGH COMMISSIONER FOR HUMAN RIGHTS ZEID RA'AD AL HUSSEIN HIGHLIGHTS HUMAN RIGHTS CONCERNS AROUND THE WORLD IN AN ADDRESS TO THE 36TH SESSION OF THE UN HUMAN RIGHTS COUNCIL IN GENEVA, 11 SEPTEMBER 2017
ゼイド・ラアド・アル・フセイン国連人権高等弁務官、2017年9月11日ジュネーブにおける国連人権理事会の第36回セッションへの演説において世界各地の人権に関わる懸念を強調

11 September 2017
GENEVA, 11 September 2017 (Issued as received)
2017年9月11日
ジュネーブ、2017年9月11日(受領時発行)

[…]

China is currently drafting its first national law regarding detention centres, with the aim of improving standards of treatment, oversight and accountability. I welcome this and encourage the Government to ensure that the law grants access to independent legal counsel and family members, as well as addressing the ill-treatment in detention and deaths in custody noted by the Committee Against Torture in 2015. The recent death in custody of Nobel Peace Prize laureate Liu Xiaobo shocked many around the world, as did the deaths, also in custody, of Cao Shunli in 2014 and Tenzin Delek Rinpoche in 2015. Many more are in various forms of deprivation of liberty on questionable grounds, without any independent oversight mechanism, including Wang Quanzhang, Jiang Tianyong, Li Ming-che, Tashi Wangchuk and Liu Xia. I am particularly concerned about action taken against defence lawyers. I commend China's emphasis on the contribution of development to the enjoyment of all human rights, and suggest it should include a greater focus on vulnerable groups, in particular among the Tibetan, Uyghur and other marginalised populations. 
中国は現在、処遇、監督および説明責任の水準を改善することを目的として、勾留所に関する最初の国内法を起草している。これを歓迎し、政府に、この法律が、独立した法律顧問や家族へのアクセスを付与することとともに、2015年に拷問禁止委員会が指摘した、勾留における虐待と拘留における死亡への対処を保証することを促す。ノーベル平和賞受賞者の劉暁波(リウ・シャオポー)の拘留中の死は、2014年の曹順利(ツァオ・シュンリー)と2015年のテンジン・デレク・リンポチェのこれまた拘留中の死と同様、世界中で多くの人々に衝撃を与えた。王全璋(ワン・チュエンジャン)、江天勇(ジアン・ティアンヨン)、李明哲(リ・ミンチェ)、タシ・ワンチュクおよび劉霞(リウ・シア)など、さらに多くの人々が、いかなる独立した監視メカニズムも無い疑わしい理由によって、さまざまな形式で自由を奪われた。とくに被告側弁護士に対して取られた措置を懸念している。すべての人権の享受への開発の貢献に中国が重点を置いていることを賞賛し、そして、とくにチベット人ウイグル人、その他の疎外された住民のあいだで、脆弱なグループに強く焦点を当てることを含めるべきであると提案する。

[…]

The Democratic People's Republic of Korea systematically and comprehensively violates the rights of its people, curtailing or extinguishing every fundamental freedom, as the Commission of Inquiry reported in 2014. The repression of civil, political, economic and social rights are without parallel in any contemporary State not engaged in war or internal conflict, and I regret to report that there has been little change to this situation in the first three years of my mandate. However, the DPRK has recently submitted a report to the Committee on the Rights of the Child, and has ratified the Convention on the Rights of Persons with Disabilities and supported the visit of the Special Rapporteur on the Rights of Persons with Disabilities earlier this year; these signs of engagement with the mechanisms and treaty bodies are positive steps forward, and I hope to see others.
北朝鮮は、2014年に調査委員会が報告したように、あらゆる基本的自由を縮小または消滅させ、人々の権利を体系的かつ包括的に侵害している。市民的、政治的、経済的、社会的権利の抑圧は、戦争や内部抗争に巻き込まれていない現代国家において類はなく、私のマンデートの最初の3年間にこの状況にほとんど変化がないことを報告するのは遺憾である。しかしながら、最近、DPRKは子どもの権利委員会に報告を提出し、今年初めに障害者権利条約を批准し、障害者の権利に関する特別報告者の訪問を支持した。メカニズムと条約機関との関わりのこれらの兆候は、前向きな前進であり、私はそのほかを目にすることを望む。

[…]


2017年9月13日