dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

昭和天皇の戦犯除外に関するマッカーサーの報告(1946年1月25日)


陸軍省
機密通信センター

着信機密通信

送信時機密

優先

送信元:日本、東京進駐 CINCAFPAC[太平洋米軍最高司令官] 

宛先: 陸軍省

番号: CA 57235

1946年1月25日[*1

 進駐 CINCAFPAC マッカーサーから WARCOS[陸軍省参謀総長]、統合参謀本部へ 参考 WX 93871 CA 57235 。

 WX 85811[*2]受領以来、天皇に対する刑事訴訟の可能性について、定められた制限のもと、こちらで調査が行なわれた。過去十年間の日本帝国の政治的決定に多かれ少なかれ関係している可能性のある彼の正確な活動に関して、具体的で明確な証拠は見つかっていない。私は、可能な限り完全な調査を行なった結果、終戦時までの彼の国政への関わり方は、おもに裁量の余地のないものであり、参与の助言に自動的に応じていたという明確な印象を持っている。たとえ彼が肯定的な考えを持っていたとしても、支配的な軍閥に牛耳られ代表される世論の流れを妨げようとする彼の側の努力は、実際に彼を危険にさらすことになった可能性が高いと考える者もいる。

 もし彼が裁かれることになれば、職務上の計画に大きな変更が加えられなければならず、したがって、実際の行動が開始される前に、十分な準備が完了していなければならない。彼はすべての日本人を統合するシンボルである。彼を破壊すれば国家は崩壊する。実質的にすべての日本人は、彼を国家の社会的必要性として崇め、ポツダム協定が彼を日本の天皇として維持するためのものであると、善かれ悪しかれ信じている。彼らは連合国の行動を歴史上の *****[逆に最大の *3]裏切りと見なし、この想いによって生じた憎悪と憤慨は、疑いなくすべての測定可能な時間つづくだろう。それにより復讐のための復讐劇が始まり、その連鎖は終わるとしても数世紀先になるかもしれない。

 私の意見では、日本全体が、受動的または半能動的な手段でその処置に抵抗することが予想される。彼らは武装解除されており、したがって訓練を受けて装備された軍隊という特別な手段を持たない。しかしながら、すべての政府機関が崩壊し、文明的慣行が大部分停止し、山間部や辺境地域でのゲリラ戦に匹敵するような地下の混沌と無秩序の状態が結果として生じることは考えられないことではない。私は、近代的な民主主義の方法を導入するというすべての希望はなくなり、最終的に軍の統制がなくなったとき、分断された大衆からおそらく共産主義的な路線に沿った、ある種の強烈なレジームが巻き起こると考えている。これは、現在起こっているものとは完全に異なる占領問題であることを意味する。占領軍を大幅に増強することが絶対に必要となる。最低でも百万人の軍隊が必要となる可能性があり、それを無期限に維持しなければならない。さらに、数十万人規模に達する可能性のある、完全な公務員を採用し受け入れなければならないかもしれない。このような状況下では、何百万人もの貧しい一般市民を対象とした海外供給サービスを、実質的に戦争ベースで立ち上げなければならない。私が議論しようとしない他の多くのもっとも劇的な結果が予想されるべきであり、新たな事態に対応するために、連合国はあらゆる方面から完全な新計画を慎重に準備しなければならない。占領軍を構成する国の軍については、もっとも慎重な検討が不可欠である。米国が、人的資源、経済性、その他の、結果として生じる責任の大きな負担を、一方的に負うよう求められるべきでないことは必定である。

 天皇戦争犯罪人として裁くべきかどうかは、非常に高レベルの政策決定を伴うものであり、私が勧告を行なうことは適切ではないと思われるが、各国首脳による決定が肯定的であるのであれば、上記の措置は必須のものであるとして記載した。

終わり

機関: JC/S[統合参謀本部

情報: リーヒ提督、アーノルド将軍、ハル将軍、ヴァンデンバーグ将軍、ニミッツ提督、参謀総長

CM-IN 5885      (46年1月26日) DTG 251645Z VD


2021年11月23日

*1:国会図書館

www.ndl.go.jp

*2:

*3:括弧内の単語は国防総省提供による。

「合衆国外交関係、1946年、極東、八巻 -[国務省]歴史課」(「[308] 陸軍元帥ダグラス・マッカーサーから合衆国陸軍参謀総長アイゼンハワー)へ」」)history.state.gov

下記も参照。