文書番号:HRC20.011E
ノート:
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バチェレ人権高等弁務官が口頭報告で中国に言及:「中国政府による、今年、新疆含む中国を訪問するための私への招待を歓迎する。この提案された訪問に備え、事前チームへの自由なアクセス要請を続ける。ウイグル人マイノリティ・メンバーの状況含め中国における人権状況を詳細に分析することを目指す」。
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ミャンマーにおけるロヒンギャ・ムスリムやその他のマイノリティが受けた侵害や虐待の根本原因に関する人権高等弁務官との双方向対話で日本、中国、北朝鮮が発言。
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(メディア報道より)
AP(2020年2月27日)
「国連人権チーフ、スリランカの決議脱退に遺憾」
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(外務省声明)
声明掲載なし。
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( UN Web TV )
チャプター--:国連/ミチェル・バチェレ人権高等弁務官
チャプター09:日本/岡庭健在ジュネーブ政府代表部大使
チャプター32:中国/劉華(リウ・ホア/Liu Hua)政府代表(※ Ms. Lzu Hua とある)
チャプター35:北朝鮮/[パン・グァンヒョク(Pang Kwang Hyok)政府代表] -
2019年世界人権都市フォーラム
人権高等弁務官の年次報告書(A/HRC/43/3)を眺めてみると、4. 経済的、社会的および文化的権利に、10月にOHCHRは韓国において世界人権都市フォーラムに参加し、地方政府に関する高等弁務官の報告書(A/HRC/42/22)*1 を提出したとあった(パラグラフ28)*2 。同フォーラムのウェブサイトがあったので覗いてみると、2011年から光州(クァンジュ)で開催されているということらしい。テーマ別セッション T9 は「国家暴力:国家暴力、象徴的暴力、ヘイト(State Violence: State Violence, Symbolic Violence, Hatred)」と題されており、人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット、事務局:反差別国際運動(IMADR))から外国人人権法連絡会事務局長の師岡康子弁護士と、川崎市ふれあい館館長の崔江以子(チェ・カンイジャ)氏が講演を行なった模様。講演者は三名で、もうおひと方は西江(ソガン)大学のキム・ジュヒ(KIM Joohee)教授。
第10回 *3 世界人権都市フォーラム「テーマ別セッション(プログラム)」(英語)
「コンセプトノート」にはこうある(抜粋訳)。
現在、差別と嫌悪の問題として人権政策と密接な関係を持つ包括的差別禁止法や、光州蜂起の歪曲と否定に対する処罰など法的・制度的問題が扱われているが、このテーマ別セッションでは、嫌悪関連の具体的問題と対応事例が検討される。ヘイトを韓国社会における構造的暴力として再考するために、何人かの被害者と活動家が、社会運動として在日朝鮮人に対する差別やヘイトスピーチなど具体的問題に対処するための処罰条例の制定過程の議論に参加する。
講演のタイトルは以下のとおり。
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師岡弁護士:「ヘイトスピーチ解消法施行後の現象と問題(The phenomena and matters after administering the hate speech resolution law)」
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崔氏:「ヘイトスピーチの撲滅を願って:川崎市における市民と行政の対策(In Hopes of Eradicating Hate Speech: Countermeasures of the Citizens and the Administration in Kawasaki City)」
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キム教授:「性的暴力、その「二次被害」と「妄言」:日本軍(TBD)への女性の性的奴隷化に焦点を当てる(Sexual Violence, its ‘Secondary Damage’ and ‘Absurd Words’: Focus on the Sexual Enslavement of Women for the Japanese Army (TBD))」
講演内容は下記でダウンロードできる(PDF)。
第10回 *4 世界人権都市フォーラム「フォーラム資料(アーカイブ)」(英語)
師岡弁護士の日本語および朝鮮語によるプレゼン用(?)PPT 資料も掲載されており、PPT 資料の「解消法後のHSの現状」(P.3)に
とあるのは、講演内容の方の「解消法施行から3年経過後のヘイトスピーチの現状(The present state of a hate speech after 3 years have passed from enforcing a resolution law)」P.13(PDF)の説明とおもわれるのだが、そちらにはこうある。
After enforcing a resolution law, the founder of Association of Citizens against the Special Privileges of the Zainichi established ‘Japan First Party’, a political organization in August of 2016. In other words, discrimination supporters performed the hate speeches on the pretext of an election campaign. In some regions, the discrimination activists, who were party members of ‘The Party to Protect the People from NHK’ and ‘Chinese Nationalist Party’, were already elected as local assemblymen.
(解消法施行後、「在日特権を許さない市民の会」 の創設者は、2016年8月に政治団体 「日本第一党」 を設立した。つまり、差別支持者が選挙運動を口実にヘイトスピーチを行なったのである。一部地域においては、「NHKから国民を守る党」と「中国国民党」の党員である差別運動家たちが、すでに地方議員に当選した。)
通常 "Chinese Nationalist Party" といえば「国民党」だろう。日本の中国国民党??——日本第一党の誤りとおもわれるものの、であるとしてもなんでまた中国国民党?。
また、三輪敦子ヒューライツ大阪(アジア・太平洋人権情報センター)所長(国連ウィメン日本協会副理事長)らが「スペシャルセッション」の「2030年アジェンダ」に関するワークショップ(S1、S2)にパネリストとして参加した模様。三輪氏らは参加していないが、「スペシャルセッション」には「包摂的で安全かつ強靱な都市の実現に向けたヘイトと差別と戦うための戦略(Strategies to Combat Hatred and Discrimination for Realization of Inclusive, Safe and Resilient Cities)」と題されたセッションもあり(S3)、こちらにはコリア NGO センターから東京事務局長の金朋央(キム・プンアン)氏がパネリストとして参加したらしい。下記は同セッション「コンセプトノート」抜粋訳。
マイノリティ・グループに対するヘイトと差別は世界的な人権問題であり、すべての国がこの社会現象に取り組むためのさまざまな措置を実施している。韓国においては、2016年における悪名高い江南(カンナム)殺人事件の後、女性に対する憎悪が浮き彫りになり、2018年には難民恐怖症が済州島でのイエメン難民についての問題となった。脆弱なグループに対する差別と不平等の伝播は、女性、障害者、高齢者、移民、およびLGBTコミュニティに対するヘイトによって動機付けられている。
韓国人権委員会による2019年人権意識調査によると、韓国人の64.2%がヘイトスピーチにさらされている。さらに、人々の78.4%はより多くの社会的対立に直面することを予想し、62.8%がマイノリティ集団の表現の自由が危険にさらされると考えているいっぽう、ヘイトと差別が自然に撤廃されることに同意するのは22.2%だけである。回答者は、人権問題に対処するために、国民の意識を向上させるための教育とキャンペーン(86.9%)、学校カリキュラムにおけるさらなる人権教育プログラム(86.5%)、および政府の対策が必要とされると述べている。
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関連エントリ
HUMAN RIGHTS COUNCIL HOLDS INTERACTIVE DIALOGUE ON THE SITUATION OF THE ROHINGYA AND OTHER MINORITIES IN MYANMAR
人権理事会、ミャンマーにおけるロヒンギャやその他のマイノリティの状況に関する双方向対話を開催
Begins General Debate on the Oral Update of the High Commissioner for Human Rights, and Country Reports of the Secretary-General and the Office of the High Commissioner for Human Rights
人権高等弁務官の口頭報告ならびに事務総長および人権高等弁務官事務所の国別報告に関する一般討論開始
27 February 2020
2020年2月27日
The Human Rights Council this morning held an interactive dialogue with the High Commissioner for Human Rights on the root causes of the violations and abuses suffered by the Rohingya Muslim minority and other minorities in Myanmar. The High Commissioner then presented her oral update, as well as country reports of the Secretary-General and the Office of the High Commissioner for Human Rights, followed by a general debate.
今朝の人権理事会は、ミャンマーにおけるロヒンギャ・ムスリムやその他のマイノリティが受けた侵害や虐待の根本原因に関する人権高等弁務官との双方向対話を開催した。高等弁務官はその後、一般討論が続く、口頭報告に加え事務総長および人権高等弁務官事務所の国別報告を発表した。
[…]
Michelle Bachelet, United Nations High Commissioner for Human Rights, presenting the report on the root causes of the violations and abuses suffered by the Rohingya Muslim minority and other minorities in Myanmar,[…]
ミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官は、ミャンマーにおけるロヒンギャ・ムスリムやその他のマイノリティが受けた侵害および虐待の根本原因に関する報告を発表して、[…]
[…]
Speaking in the interactive dialogue were: Pakistan on behalf of the Islamic Organization for Cooperation, European Union, Germany, Australia, Bangladesh, Liechtenstein, Japan, Iraq, Saudi Arabia, Philippines, France, India, Pakistan, Ecuador, Malaysia, Jordan, Netherlands, Tunisia, Lithuania, Ireland, Egypt, Lao People’s Democratic Republic, Greece, Russian Federation, Turkey, Venezuela, Indonesia, Albania, Senegal, China, United Kingdom, Norway, Democratic People’s Republic of Korea, and the Gambia.
Also taking the floor were the following civil society organizations: Human Rights Commission of Malaysia, International Organization for the Elimination of All Forms of Racial Discrimination, Christian Solidarity Worldwide, Asian Forum for Human Rights and Development, International Commission of Jurists, Amnesty International, and World Jewish Congress.
[…]
At the beginning of the meeting, the High Commissioner presented her oral update on the work of her Office and its approach to recent human rights developments around the world, under agenda item 2 of the Human Rights Council.
会合始めに、高等弁務官は、人権理事会アジェンダ項目2のもとで、彼女のオフィスの作業と世界中の最近の人権開発へのアプローチに関する口頭報告を発表した。
She highlighted the situation in various countries, namely Sudan, South Sudan, Cameroon, Burkina Faso, Mali, Niger, Nigeria, Guinea, Burundi, Syria, Iraq, State of Palestine, Egypt, Saudi Arabia, Chile, Ecuador, Bolivia, Brazil, United States, India, Pakistan, Cambodia, Bangladesh, Mongolia, Nepal, Thailand, China, European Union, Kazakhstan, Turkmenistan, Turkey, Poland, and the Russian Federation. Speaking of foreign individuals with suspected ties to ISIS, the High Commissioner noted that unless they were to be prosecuted for recognized crimes, they had to be repatriated to their countries of origin. She also reminded that in many European frontline States, migrants continued to suffer.
彼女は、彼女はさまざまな国々、すなわちスーダン、南スーダン、カメルーン、ブルキナファソ、マリ、ニジェール、ナイジェリア、ギニア、ブルンジ、シリア、イラク、パレスチナ、エジプト、サウジアラビア、チリ、エクアドル、ボリビア、ブラジル、 米国、インド、パキスタン、カンボジア、バングラデシュ、モンゴル、ネパール、タイ、中国、欧州連合、カザフスタン、トルクメニスタン、トルコ、ポーランド、およびロシア連邦における状況を強調した。ISISへの関係が疑われる外国人について言えば、高等弁務官は認知された犯罪で起訴されない限り、出身国に送還されなければならないと指摘した。彼女はまた、多くのヨーロッパの最前線の締約国において、移住者が苦しみ続けたことを想起した。
[…]
The Council will continue the general debate on the High Commissioner’s oral update, and on the country reports of the Secretary-General and the Office of the High Commissioner for Human Rights today at 3 p.m.
理事会は本日午後3時、高等弁務官の口頭報告、ならびに事務局長および人権高等弁務官事務所の国別報告に関する一般討論を継続する。
[…]
Documentation
ドキュメンテーション
The Council has before it the Annual report of the United Nations High Commissioner for Human Rights (A/HRC/43/3).
理事会にはその前に、国連人権高等弁務官の年次報告書(A/HRC/43/3)がある。
Presentation of the High Commissioner’s Annual Report
高等弁務官の年次報告プレゼンテーション
MICHELLE BACHELET, United Nations High Commissioner for Human Rights, informed that the update would not deal with human rights situations that were the object of separate statements or reports by the Office of the High Commissioner during this session, namely Afghanistan, Central African Republic, Colombia, Cyprus, the Democratic Republic of the Congo, the Democratic People’s Republic of Korea, Eritrea, Guatemala, Honduras, Iran, Libya, Myanmar, Nicaragua, Sri Lanka, Venezuela and Yemen, as well as the report on ensuring accountability in the occupied Palestinian territory.
ミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官は、このセッション中、高等弁務官事務所による個別の声明または報告の対象となった人権状況、すなわちアフガニスタン、中央アフリカ共和国、コロンビア、キプロス、コンゴ民主共和国、北朝鮮、エリトリア、グアテマラ、ホンジュラス、イラン、リビア、ミャンマー、ニカラグア、スリランカ、ベネズエラ、イエメン、パレスチナ被占領地における説明責任の確保に関する報告は、この報告では扱われないことを報じた。
2020年3月3日
*1:人権理事会の前回セッションに提出された。
*2:人権高等弁務官事務所プレスリリースに「声明/メッセージ」も掲載されていた:「第9回世界人権都市フォーラム 韓国、光州 2019年9月30日 ミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官によるビデオ声明」(英語)。また、報告書の 2. 死刑 には下記の記述がある。
82. OHCHRは、総会決議73/175に基づくモラトリアムの制定、およびおよび死刑に直面している人々の権利保護について、バーレーン、ブルネイ・ダルサラーム、イラン(イスラム共和国)、イラク、日本、マレーシア、パキスタン、サウジアラビア、シンガポール、スリランカ、タイおよび米国を含む締約国に奨励することを続けた。
*3:2011年から年次開催であれば第9回。Wayback Machine アーカイブによればヘッダ情報がすでに2020年用に更新されているということのようだ。
*4:ditto.
*5:ditto.