dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第36回人権理事会:理事会の注意を要する人権状況に関する一般討論を終結


文書番号:HRC/17/137E

ノート:

  • 非暴力急進党トランスナショナルとトランスパーティ(本部ローマ)が、中国によるウイグル人学生の処遇について言及。

  • 国際キャリア支援協会から藤木俊一氏が、意見と表現の自由に関する特別報告者デイヴィッド・ケイ氏の報告について発言。

  • 同会は提出した声明文で、国境なき記者団(RSF)の2016年世界報道自由度ランキングに言及し、その信頼性に疑問を呈している(下記「国際キャリア支援協会の声明文(国連公式文書システム)」参照)。ここでフリーダム・ハウスのランキングと比較するのは良いのだが、ケイ氏とRSFのつながりが今ひとつ分かり難く、いささか唐突な印象を受ける(ケイ氏の予備報告書発行の「まさにその翌日」RSFのランキングが発表されたと指摘)。

    RSFは、このランキングの発表に先立って「国境なき記者団は日本のメディアの自由の低下を懸念する」と題した声明を発表しているのだが——

    国境なき記者団(RSF)は今週行われる、表現の自由に関する国連特別報告者、デビッド・ケイ氏の公式訪問に先立ち、日本におけるメディアと情報の自由に関する現在の状況の評価を行った。」
    国境なき記者団は 2012 年 12 月に安倍晋三氏が再び首相になって以来、日本におけるメディアの自由が後退していることにケイ氏の注意を促す。安倍政権によるメディアの独立性への脅し、最近のキャスターの降板、主要な放送局内で自主規制が進んでいることなどは日本の民主主義の基盤を危険にさらしている。
    [以下略]

    国境なき記者団プレスリリース日本語版(2016年4月11日)——「ケイ氏の注意を促す」とある。RSFに言及するのであれば、上記声明とケイ氏の報告内容との一致とともに、こちらに言及/リンク等行うのも良かったのではあるまいか。

    ところで、もう一方のフリーダム・ハウス報道の自由度ランキングについては、2017年版(に声明文は言及している)の日本の順位は48位(2016年版44位)だとおもわれる。声明文の日本が12位、ドイツ16位、イギリス17位、フランス27位…というランキングは、どこからなのであろうか?。実のところ今回の声明文は、前回の第35回セッションに向けて提出された(とされる)山下英次教授によるものとほぼ同じ内容なのだが(下記参照)、そちらにも上記のランキングが掲載されている。いずれにせよ引き合いに出された各国より日本は上位であり、各年度ごとの変動に関しての指摘も含め趣旨には影響ないのだが…? *1また、同じく声明文では、ケイ氏はダデン教授ら「極端な反日論者(anti-Japan extremists)」の影響を強く受けているとも指摘している。この「影響」についてはいくつか傍証を示しているものの、"anti-Japan extremists" という語を使うのであれば、なぜそう評されるのかについての説明も少しは必要になるだろう。

  • 国際キャリア支援協会スピーチ(英語/日本語)(「「慰安婦の真実」国民運動」ホームページ)

  • 国際キャリア支援協会声明文(国連公式文書システム
    「日本の表現の自由」(A/HRC/36/NGO/144)

  • ( UN Web TV の映像より)
    チャプター06:非暴力急進党トランスナショナルとトランスパーティ/ライアン・バリー(Ryan Barry)氏
    チャプター39:国際キャリア支援協会/藤木俊一氏
    ※ "Mr. Fujiki Shunicht" になっている。

  • 下記も参照のこと。

掲載URL:https://unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/A02C5B68544772C4C12581A1004CA10A?OpenDocument


HUMAN RIGHTS COUNCIL CONCLUDES GENERAL DEBATE ON HUMAN RIGHTS SITUATIONS REQUIRING THE COUNCIL’S ATTENTION
人権理事会、理事会の注意を要する人権状況に関する一般討論を終結 

20 September 2017
2017年9月20日

The Human Rights Council in a midday meeting concluded its general debate on human rights situations requiring the Council’s attention.
人権理事会は、昼の会合で、理事会の注意を要する人権状況に関する一般討論を終結させた。

The first part of the general debate was held on 19 September and can be seen here.
一般論議の最初の部分は9月19日に開催され、こちらで確認できる。

Speakers taking the floor during that segment drew the attention of the Human Rights Council to human rights violations across a wide geographic range and across numerous categories of human rights, including freedom of expression, freedom of belief and cultural rights. Several speakers pleaded with the Human Rights Council to speak out against situations affecting ethnic, linguistic and religious minorities, while others called for the implementation of various already agreed upon mechanisms and institutions.
このコマにおいて討論に加わった発言者は、人権理事会の関心を、表現の自由、信仰の自由および文化的権利など、広範な地理的範囲に渡る、さまざまな種類の人権侵害に引き付けた。一部の発言者は、民族、言語および宗教的マイノリティに影響を及ぼす状況を非難することを人権理事会に説いたが、他は既に合意したさまざまなメカニズムや制度の実施を求めた。

[…]

Nonviolent Radical Party, Transnational and Transparty brought the Human Rights Council’s attention to Uighurs. In Egypt 22 Uighur students had been deported forcibly and returned to China. Today there was no information on their whereabouts and they were at serious risk of torture. There was no indication that these students had done any wrongdoing. The Transparty urged China and Egypt to address this issue.
非暴力急進党トランスナショナルとトランスパーティは、人権理事会の注目をウイグル人に向けさせた。エジプトにおいては、ウイグル人学生22人が無理やり強制送還され中国に戻った。こんにち彼らの居場所に関する情報はなく、彼らは深刻な拷問の危険にさらされていた。これらの学生が何らかの違法行為を行なったという兆候はなかった。トランスパーティは、中国とエジプトに、この問題の対処を強く促した。

[…]

International Career Support Association rejected the claims that the Government of Japan infringed on the freedom of expression and opinion. Pressure on Japanese journalists was exerted by external interests. Biased allegations should be rejected and a proper investigation should be conducted.
国際キャリアサポート協会は、日本政府が表現と意見の自由を侵害したという主張を拒否した。日本のジャーナリストへの圧力は、外部利益によって及ぼされた。 偏見のある主張は退けられ、適切な調査が行われるべきである。

[…]


2017年9月27日

*1:追記)というか「報道の自由」ではなく「自由度」ランキングに依拠していたようだ(報告にそのとおり書かれている…)。が、こちらの順位は15位(2016年版16位)。