「日本は安心ですよ」— 国連TV製作の日本への難民呼び込みのための(?)ショートドキュメンタリー
In 2016 only 28 people out of thousands obtained refugee status in Japan => @UN_TV documentary abt efforts of @UNHCR https://t.co/ICNCC6GPP7 pic.twitter.com/PTxSVPyNVR
— UN Geneva (@UNGeneva) 2017年9月17日
今年は、「2016年の日本の難民認定はわずか28人、国際社会の責任ヲー、排外主義ガー、少子高齢化デー」の報道が海外各紙にもけっこう流れたようだ。人数が少ないのは事実だが、申請者の大部分は中東やアフリカ出身ではなく、就労目的に難民申請が悪用されていることに言及しない記事が多かったようにおもわれる *1 。
下記の記事(ジャパンタイムズなのである)を英国人に紹介したところ合点が入ったとの反応をもらったりしたのだが申請者の増加も、「近年のヨーロッパの難民増加とは何の関係もない」*2 。
「労働力不足の日本で働くために、難民申請の抜け穴を悪用する移民たち」(ジャパンタイムズ/2017年2月21日)。
なお、最新の OECD の統計によれば、2015年の日本への外国人流入者数は約39万人で、一位ドイツ(202万)、二位アメリカ(105万)、三位イギリス(48万)に次ぐ四番目の移民大国(?)である。
さて、UN TV 製作、国連オーディオビジュアル・ライブラリー収録の番組(?)「UN・イン・アクション(UN in Action)」のショート・ドキュメンタリーなるものはどうか(No. 1557)*3 。
「日本の難民」(2017年8月23日)掲載ページに以下の文言が繰り返され、
難民高等弁務官事務所(UNHCR)との協力で、難民を日本社会に統合するための更なる努力が行なわれている。
映像本編も UNHCR の働きあっての、というアピールは怠らないものの、明るく前向きな(?)難民二人と、受け入れに取り組む日本人の二組みの姿が描かれる。若干拍子抜け←反日中毒ですな(苦笑)。
が、いやいやいや。UNHCR と日本のすばらしいパートーナーシップを伝えようというなら
日本で亡命を希望した何千もの人々のうち、2016年には28人が難民認定を許諾された。
を掲載ページで繰り返すこともないだろう(映像では冒頭「のみ」)。この国は UNHCR の最大のスポンサーのひとつ、非難こそしないが、28人に注目を集めようとしているのは明らか。
危うく忘れてしまうところだった。そもそもこのフィルムを知ったのは国連ジュネーブ事務局のウェブサイトで、たまたまサイドメニューに貼られていたツイッターのタイムラインが目に入ったのが切っ掛けだった。つぶやきは「UNHCR との協力」ならぬ「28人」の方。しかも "only" 付き(冒頭の2017年9月18日付ツイート参照)。
2016年には、数千人のうち、わずか28人が日本で難民認定を取得。
当然ジャパンタイムズのような背景説明も無く「わずか28人」の文字だけが踊る。こうして見ると明るく前向きな映像も、なにやら難民呼び込みのためのように思えて来る。手の込んだ「押し付け」なのか。
「日本は安心ですよ。でも28人しか受け入れられていないんです。」