dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第120回自由権規約委員会:日本(第六回)を含む定期報告総括所見へのフォローアップに関する進捗報告


文書番号:CT17.026E

ノート:

  • 同時に行なわれたアイスランドフィンランドキルギスタンも含めて国連ジュネーブ事務局ホームページ「プレスリリースと会議要約(Press Releases & Meeting Summaries)」から訳出。関連ドキュメント等へのリンクもこちらに纏めた。

  • 自由権規約委員会においては、政府は第六回報告の総括所見(最終見解)へのコメント(2015年8月)から、朝日新聞の訂正などを引き合いに慰安婦問題における事実関係に対する反論を行なうようになり(下記掲載の外務省ホームページでリンクした「最終見解に対する日本政府コメント」(2015年8月)パラグラフ26参照)、前回の第116回セッション(2016年3月)でのフォローアップに対する「分析評価」は、「日韓合意」を「留意」などもあって「B2」となっていた(同じくリンクした「日本政府コメントに対する自由権規約委員会の分析評価報告書」等を参照)。

    ※ 委員会による政府のフォローアップ情報提供に対する成績評価
     (同上より)

    満足のゆく回答又は行動
    A :全般的に満足のゆく回答
    部分的に満足のゆく回答又は行動
    B1:実質的な行動がとられたが、追加情報が必要
    B2:初期の行動がとられたが、追加情報が必要
    満足のゆかない回答又は行動
    C1:回答はあったが、取った行動が勧告を実施するものではなかった
    C2:回答はあったが、勧告に関係しないものであった
    委員会に協力していない
    D1:1以上の追加勧告又は追加勧告の一部について回答がない
    D2:(数度にわたり)督促したが回答がない
    取った措置が委員会の勧告に反する
    E :回答が委員会の勧告と逆行する措置がとられたことを示している

    続いてこの「分析評価」に対する日本政府コメントでは、今さらながら「強制連行」で悪名高いスマラン事件(が軍の命令ではなく軍律違反であったこと)の説明なども行なっていた(同じく「日本政府コメント」(2016年12月)参照)*1  。

  • これらを受けた今回の「分析評価」であるが、「B」「C」評価となった(下記国連人権高等弁務官事務所ホームページ「総括所見におけるフォローアップに関する特別報告者のフォローアップ報告」CCPR/C/120/2(先行未編集版)p. 17 - 19 参照)。「日韓合意」による財団への拠出実施が「B」評価。「C」となった前回第116回セッションの勧告への対応に関しては、そもそもこの勧告自体が以下の内容であり(CCPR/C/116/2、同上参照)、
    (a)戦時中に日本軍が「慰安婦」に対して犯した性奴隷制その他の人権侵害のすべての申し立ての、効果的で独立して公平な調査、加害者の起訴、有罪の場合の処罰。
    (b)犠牲者およびその家族への司法へのアクセスおよび完全な賠償。
    (c)入手可能なすべての証拠の開示。
    (d)教科書の適切な言及を含む、この問題に関する学生および一般の人々の教育。
    (e)公的な謝罪と、同締約国の責任の公式な認識の表明 *2 。
    (f)犠牲者の中傷や、この出来事を否定しようとする試みの非難。
    前提となる事実関係に対して政府が反論しても、2008年10月の第五回報告への総括所見 CCPR/C/JPN/CO/5(下記外務省ホームページのリンク参照)での勧告と基本的なスタンスに変化は無く、今回もそれをそのまま踏襲して「評価」が行われたと見るべきだろう(どうやらカネを出したのはある程度評価、つまり「B」を入れるということに当会議で修正されたようにおもわれる。訳出した本文会議要約参照)。委員会での経緯については、下記のエントリも参照。
  • また、今回のフォローアップ報告 CCPR/C/120/2 は、その情報の内容以前に "The Korean Council for the Women Drafted for Military Slavery by Japan(日本により軍事性的奴隷制度に徴用された女性のための韓国協議会)" を名乗る団体(挺対協)の情報を、「 NGO からの情報」として取り上げて記載しているのだからむべなるかな、である(p. 18)。挺対協の「情報」(2017年3月17日)については、下記掲載「★第2ラウンド/他の情報源からのフォローアップ情報」参照。

  • 慰安婦以外も含めた第120回および116回セッションでのフォローアップ項目「分析評価」は下記のとおり(CCPR/C/120/2による)。

    パラグラフ 13 14 16 18
    内容 死刑 慰安婦 技能実習制度 代替収容制度(代用監獄)および自白強要
    第120回 [E][B] [B] [C] [B] [C] [C] [C] [B]
    第116回 [E][B2] [B2] [B2][C2][C2] [C2][B2][B2][C2]

    「第105回セッション(2012年7月9日 - 27日)以降に自由権規約委員会が採択した総括所見へのフォローアップに関する報告の提出状況」(CCPR/C/119/2 補遺)が、第119回セッション(2017年3月6日 - 29日)のページにアップされており(PDF)、第105回セッション以降の総括所見フォローアップへの、2017年4月18日現在の各締約国の「分析評価」を確認できる。ちなみにアメリカは、[B2][D1][D1][C2]、[C2][C2]、[B2][C1][B1]および[B1][B1][D1][B2][D1]。他国も「C」評価は普通にあるが、この時点で「E」評価があるのはインドネシアマカオ、日本のみ。

  • なお、「フォローアップ手続きの中止」が勧告されているが、日本の第七回定期報告は2018年7月31日(CCPR/C/120/2、p. 24)である(フォローアップ項目は課題リストに引き継ぎ)。

  • (外務省ホームページ)

    外交政策」 > 「日本の安全保障と国際社会の平和と安定」 > 「人権・人道・難民」 > 「人権外交」 > 「国際人権規約3 自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)

    <第六回定期報告>

    日本政府コメント(2016年12月)(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    日本政府コメント(2016年6月)(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    日本政府コメントに対する自由権規約委員会の分析評価報告書(2016年4月)(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    最終見解に対する日本政府コメント(2016年3月)(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    最終見解に対する日本政府コメント(2015年8月)(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    自由権規約委員会の最終見解:CCPR/C/JPN/CO/6(2014年7月24日[ホームページの記載による。文書上の日付は2014年8月20日])(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    自由権規約委員会の事前質問に対する政府回答:CCPR/C/JPN/Q/6/Add.1(PDF)[英語正文(PDF)]

    市民的及び政治的権利に関する国際規約第40条(b)に基づく第6回報告:CCPR/C/JPN/6(2012年4月)(PDF)[英語正文(PDF)]

    <第五回定期報告>

    最終見解に対する日本政府コメント(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    自由権規約委員会の最終見解:CCPR/C/JPN/CO/5(2008年10月30日)(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    自由権規約委員会の事前質問に対する政府回答(PDF

    市民的及び政治的権利に関する国際規約第40条(b)に基づく第5回報告(2006年12月)(PDF)[英語正文(PDF)]

    ※[]は同ホームページ英語版のリンクより( "Foreign Policy" > "Japan's Security / Peace & Stability of the International Community" > "Human Rights, Humanitarian Assistance,Refugees" > "International Covenant on Civil and Political Rights" )。

  • 国連人権高等弁務官事務所ホームページ(英語))

    "ALL HUMAN RIGHTS BODIES" ("HUMAN RIGHTS BODIES") > "Human Rights Committee (CCPR)" ("Treaty-based bodies") > "Sessions"

    ※ 以下★は外務省ホームページ「3 自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)」未掲載。

    • 第120回セッション(2017年7月3日 - 2017年7月28日)(英語

      ★総括所見におけるフォローアップに関する特別報告者のフォローアップ報告:CCPR/C/120/2(先行未編集版)(Word)[追記](2017年9月8日版)(PDF

    • 第116回セッション(2016年3月7日 - 2016年3月31日)(英語

      ★総括所見におけるフォローアップに関する特別報告者のフォローアップ報告:CCPR/C/116/2(2016年3月9日)「自由権規約委員会の総括所見へのフォローアップ報告」(PDF

    • 第111回セッション(2014年07月07日 - 2014年07月25日)(英語

      ※ 時系列で抽出し、日付と、ハイフン以下に適宜補足を記した。

      日本:

      ★第2ラウンド/締約国に送付されたフォローアップ書簡:Ref. GH/fup-120(2017年8月8日)(PDF)- 自由権規約委員会総括所見へのフォローアップのための特別報告者マウロ・ポリティ氏による、フォローアップ手続きの中止と、第121回セッションで採択される、第七回定期報告の提出前課題リストへの引継ぎに関する書簡。

      ★第2ラウンド/他の情報源からのフォローアップ情報:挺対協(2017年5月12日)(Word)-「自由権規約委員会の監視終結へのフォローアップのために特別報告者によって送付された2016年4月19日付の書簡への日本政府の返答に関する立場」

      ★第2ラウンド/他の情報源からのフォローアップ情報:アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)の支援を受けた監獄人権センター(2016年9月14日)(PDF)- 「自由権規約委員会による日本のレビューへのフォローアップにおけるNGOの情報」

      ☆第2ラウンド/フォローアップ:締約国追加フォローアップ報告:MT/U N/598(2016年12月27日/2016年12月29日登録)(PDF)-「自由権規約委員会の総括所見へのフォローアップのために特別報告者によって送付された2016年4月19日付の書簡への日本政府返答」(慰安婦問題に関する進捗報告)

      ☆第2ラウンド/フォローアップ:締約国追加フォローアップ報告:FY/UN/315(2016年6月10日/2016年6月10日登録) (PDF)-「自由権規約委員会の総括所見へのフォローアップのために特別報告者によって送付された2016年4月19日付の書簡への日本政府返答」(死刑、技能実習制度、代替収容制度(代用監獄)、および自白強要に関する進捗報告)

      ☆締約国へ送付されたフォローアップ書簡:Ref. KF-fup-116(2016年4月19日)(PDF)- 自由権規約委員会総括所見へのフォローアップのための特別報告者サラ・クリーヴランド(Sarah Cleveland)氏による、第116回セッション(2016年3月)における「分析」結果。

      ☆締約国フォローアップ報告:「自由権規約委員会の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/6)パラグラフ14による勧告に関する日本国政府によるコメントへの慰安婦問題に関する追加情報」(PDF)(日付不明、外務省掲載ページ記載の年月:2016年3月)- 日韓合意(2015年12月28日)に関する情報

      ★その他のソースからのフォローアップ情報:NGO共同提出(2015年8月21日)(Word)-「日本:CCPRセンターによる支援による国連自由権規約委員会勧告の措置における締約国のフォローアップ活動のNGO評価」(監獄人権センター、在日本朝鮮人人権協会、移住者と連帯する全国ネットワーク、国際人権活動日本委員会、女たちの戦争と平和資料館による共同提出。日本語版:こちらには評価グレードが記載されている。20項目中B以上は2項目のみ)

      ☆締約国フォローアップ報告:最初の返答、FY/UN/421(2015年7月15日/2015年8月31日登録)(PDF)- 「自由権規約委員会の総括所見に関する日本政府によるコメント」

      ☆総括所見:CCPR/C/JPN/CO/6(2014年8月20日)(PDF)- 「日本の第六回定期報告に関する総括所見」

      ★締約国からの追加情報:追加コメント II(Word)(日付不明、ファイルプロパティ変更日:2014/07/23)- 避難指示の延長等に伴う補償の暫定指針(原子力損害賠償紛争審査会)

      ★要約記録:CCPR/C/SR.3082(PDF)(2014年8月20日)- 第111回セッション2014年7月16日PM討議要約

      ★要約記録:CCPR/C/SR.3081(PDF)(2014年7月21日)- 第111回セッション2014年7月16日AM討議要約

      ★要約記録:CCPR/C/SR.3080(PDF)(2014年8月11日)- 第111回セッション2014年7月15日討議要約

      ★締約国からの追加情報:締約国より受領、FY/UN/375(2014年6月18日)(PDF)- 特定秘密保護法体罰朝鮮学校への差別、福島避難指示区域の解除などの第111回セッションに関連するQ & A

      ★代表団参加者のリスト(2014年7月1日)(PDF)- FY/UN/329

      市民社会組織からの(セッションのための)情報 - アムネスティ・インターナショナルヒューマンライツ・ナウ、日弁連、挺対協、女たちの戦争と平和資料館など36本(文書リンク略)

      市民社会組織からの情報 - 日弁連、反差別国際運動、在日本朝鮮人人権協会など16団体からの報告(文書リンク略)。

      ★課題への回答:補足情報11(PPT)- 女性活躍推進の資料(「日本再興戦略」)

      ★課題への回答:補足情報10(PPT)- 人権擁護のための立法支援の事例

      ★課題への回答:補足情報09(PDF)-「人種調和のための象徴的空間」(白老町)のマスタープラン

      ★課題への回答:補足情報08(PDF)- 法務省人権機関の説明図

      ★課題への回答:補足情報07(PDF)- 難民認定申請者の勾留、難民認定のしくみに関する説明図

      ★課題への回答:補足情報06(PDF)- 東京拘置所の写真

      ★課題への回答:補足情報05(Word)- 死刑判決を受けた受刑者の処遇

      ★課題への回答:補足情報04(PDF)- 裁判員裁判の審理人数(2011年)

      ★課題への回答:補足情報03(Word)- 裁判員制度の説明

      ★課題への回答:補足情報02(PDF)- 慰安婦問題資料(『歴史問題』)

      ★課題への回答:補足情報01(Word)- 慰安婦問題の補足説明

      ★課題への回答:補足情報(Word)-「第六回定期報告に関連する課題リストへの日本の返答の補足」(日付不明、ファイルプロパティ変更日:2014/05/27)

      ☆課題への回答:CCPR/C/JPN/Q/6/Add.1(2014年3月6日受領/2014年5月19日)(Word)-「日本の第六回定期報告に関連する課題のリスト 補遺 課題のリストへの日本の返信」

      ☆課題リスト:CCPR/C/JPN/Q/6(2013年11月14日)(PDF)- 「日本の第六回定期報告に関連する課題のリスト」

      ★コアドキュメント:HRI/CORE/JPN/2012(2012年6月1日/2012年10月29日)(PDF)-「締約国報告の一部を構成する共通コアドキュメント」

      ☆締約国報告:CCPR/C/JPN/6(2012年4月26日/2012年10月9日)(PDF)-「市民的および政治的権利に関する国際規約第40条(b)に基づく第六回報告」

  • UN Web TV

  • 自由権規約委員会メンバー(国連人権高等弁務官事務所ホームページ)

    メンバー名 国籍 任期
    (12月31日まで)
    タニア・マリア・アブド・ロチョル氏
    Ms. Tania María ABDO ROCHOLL
    パラグアイ 2020年
    ヤド・ベン・アッシュー氏
    Mr. Yadh BEN ACHOUR
    チュニジア 2018年
    イルゼ・ブランズ=ケフリス氏
    Ms. Ilze BRANDS KEHRIS
    ラトビア 2020年
    サラ・クリーヴランド
    Ms. Sarah CLEVELAND
    アメリ 2018年
    (副委員長)
    ハメド・アミン・ファサラ氏
    Mr. Ahmed Amin FATHALLA
    エジプト 2020年
    オリヴィエ・ド・フロウヴィル氏
    Mr. Olivier de FROUVILLE
    フランス 2018年
    クリストフ・ヘインズ氏
    Mr. Christoph HEYNS
    南アフリカ 2020年
    (委員長)
    岩沢雄司
    Mr. Yuji IWASAWA
    日本 2018年
    (副委員長)
    イヴァナ・イェリッチ氏
    Ms. Ivana JELIC
    モンテネグロ 2018年
    バマリアル・コイタ氏
    Mr. Bamariam KOITA
    モーリタニア 2020年
    マーシャ・V・J・クラン氏
    Ms. Marcia. V. J. KRAN
    カナダ 2020年
    ダンカン・ラキ・ムフムーザ氏
    Mr. Duncan Laki MUHUMUZA
    ウガンダ 2018年
    フォティニ・ファザルジス氏
    Ms. Photini PAZARTZIS
    ギリシャ 2018年
    マウロ・ポリティ氏
    Mr. Mauro POLITI
    イタリア 2018年
    ジョゼ・マヌエル・サントス・パイス氏
    Mr. José Manuel SANTOS PAIS
    ポルトガル 2020年
    アニャ・ザイベルト=フォアー氏
    Ms. Anja SEIBERT-FOHR
    ドイツ 2020年
    (副委員長)
    ユヴァル・シャニ―氏
    Mr. Yuval SHANY
    イスラエル 2020年
    マーゴ・ウォーターヴァル氏
    Ms. Margo WATERVAL(報告者)
    スリナム 2018年
  • 日弁連ホームページより)

    パンフレット 第6回政府報告書審査をふまえて「自由権規約委員会は日本政府にどのような改善を求めているのか」(PDF

    政府報告書に関する日弁連報告書(2014年3月)日本語(PDF

    政府報告書に関する日弁連報告書及び添付資料(2013年5月)日本語(PDF

  • 聯合ニュース/2017年7月26日)

掲載URL:

https://www.unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/5F29D7B60329C073C12581600041B30D?OpenDocument


HUMAN RIGHTS COMMITTEE DISCUSSES PROGRESS REPORT ON FOLLOW-UP TO CONCLUDING OBSERVATIONS
自由権規約委員会、総括所見へのフォローアップに関する進捗報告を議論

17 July 2017
2017年7月17日

The Human Rights Committee today discussed a progress report by the Rapporteur on Follow-Up to Concluding Observations.
自由権規約委員会は、本日、総括所見へのフォローアップに関する報告者による進捗報告を議論した。

Mauro Politi, Committee Member and Rapporteur on Follow-Up to Concluding Observations, presented a draft report on follow-up to the concluding observations of the following States parties: Iceland, Finland, Kyrgyzstan and Japan. The draft report also contained a list of States parties that had failed to respond, thus receiving grade D. Those included Burundi, Côte d’Ivoire, Mauritania, Nepal and Sri Lanka.
委員会メンバー、総括所見へのフォローアップに関する報告者マウロ・ポリティ氏は、以下の締約国の総括所見へのフォローアップに関する報告草案を発表した:アイスランドフィンランドキルギスタン、および日本。報告草案には、対応しなかったためD評価を受けた締約国のリストも含まれていた。それらには、ブルンジコートジボワールモーリタニア、ネパール、およびスリランカが含まれていた。

The Committee adopted the draft report.
委員会は報告草案を採択した。

[…]

Presenting the follow-up report on Iceland, Mr. Politi said that additional information had been provided on gender equality, equal salaries and the representation of women in decision-making positions, namely in diplomacy and academia. The State party informed that the task force on gender equality had issued two studies on the gender pay gap and the representation of women, the results of which would inform two action plans. The Committee proposed clarification on gender-based career choices, and regretted that sufficient information had not been provided on the representation of women in various fields. As for the issue of sexual exploitation of children, investigation and prosecution of cases, and prevention of sexual abuse of children, the Committee had proposed that education on sexual abuse of children be a mandatory part of formal training of personnel working with children. The Committee regretted the lack of reply regarding that proposal. A letter should be sent to Iceland on the discontinuation of the follow-up procedure.
アイスランドに関するフォローアップ報告の発表では、ポリティ氏は、ジェンダー平等、同一賃金、および意思決定、すなわち外交や学問分野における女性の代表参加に関する追加情報が提供されたと述べた。締約国は、ジェンダー平等に関するタスクフォースが、ジェンダー賃金格差と女性の代表参加について二つの研究を発表し、その結果、二つの行動計画を情報提供すると、情報提供した。委員会は、ジェンダーに基づく職業選択の明確化を提案し、さまざまな分野における女性の代表参加に関して十分な情報が提供されていなかったことが遺憾だった。児童の性的搾取の問題、事件の捜査と訴追、児童の性的虐待の防止については、児童の性的虐待に関する教育が、児童と一緒に働く職員の正式な訓練の必須要素であると提案していた。委員会は、その提案に関する回答の欠如が遺憾だった。フォローアップ手続きの中止に関して書簡がアイスランドに送付されるべきである。

One Expert observed that States were experiencing reporting fatigue because issues such as gender pay gap and sexual abuse of children were also discussed in other committees. Other Experts noted that a great deal of information provided by Iceland had already been reported prior to the Committee’s observations. The secretariat should change the language of the letters sent to States parties regarding the follow-up report, clarifying that they should not be repeating prior information. Experts also wondered whether the grading should pertain only to the answers received since the last follow-up intervention report, or to the whole period of the follow-up since the concluding observations? They noted that the grading had not been consistent.
ある専門家は、ジェンダー賃金格差や児童の性的虐待などの問題は、ほかの委員会でも議論されているため、締約国は疲弊しているとの報告を経験していると意見を述べた。他の専門家は、アイスランドが提供した多くの情報は、委員会の所見前にすでに報告されていたと指摘した。事務局は、フォローアップ報告に関して締約国に送付する書簡の文言を変更し、以前の情報を繰り返すべきでないことを明確にすべきである。専門家はまた、最後のフォローアップ介入報告以来受け取った回答にのみ、あるいは総括所見以来フォローアップの全期間に評価を関連させるべきなのか疑問を呈した。評価が一貫していないと指摘した。

Mr. Politi clarified that the assessment was made on the basis of what had happened after the Committee had made the request for additional information, which the Chairman confirmed.
ポリティ氏は、委員会が追加情報を要請した後に何が起こったかに基づいて評価が行われたことを明らかにした。

Turning to Finland, Mr. Politi reminded that the Committee had requested additional information on alternatives to detention for asylum seekers and refugees, the Aliens Act of 2015, and the prohibition of detention for unaccompanied minors. The State party’s reply was clear and consistent, and there were provisions against the detention of unaccompanied children. The Committee only objected to the fact that the decision on detention was not subject to appeal. The Committee also requested additional information on the right of suspects to be brought in front of a judge within 48 hours, the right to legal counsel, and the practice of extended detention. The last area of concern related to the rights of the Saami people, namely their right to their traditional land and their effective participation in the preparation of the policies that affected them. The Committee recommended that a letter be sent to the State party on the discontinuation of the follow-up procedure.
フィンランドに目を向けると、ポリティ氏は、委員会が、亡命希望者や難民の収容代替措置、2015年の外国人法、保護者がいない未成年者のための拘禁の禁止に関する追加情報を要請していたことを想起させた。締約国の返答は明確かつ一貫性があり、無同意の児童の拘禁に対する規定があった。委員会は、勾留の決定が控訴の対象とならなかったという事実にのみ反対した。委員会はまた、48時間以内に裁判に掛けられる容疑者の権利、法律顧問への権利、および延長勾留の実施に関する追加情報を要請した。最後の懸念事項は、サミ族の権利、すなわち伝統的な土地への権利とそれに影響を与える政策の準備に効果的に参加する権利に関連した。委員会は、フォローアップ手続の中止に関する書簡を同締約国に送付するよう勧告した。

On Kyrgyzstan, Mr. Politi reminded that the follow-up report concerned the issue of inter-ethnic violence in 2010, and full investigation of cases of human rights violations. The Committee had requested additional information on the root causes of ethnic intolerance and on efforts to promote inter-ethnic tolerance. The Committee had also asked that prompt and impartial investigation of cases of torture and ill-treatment be undertaken. As for the freedom of expression and intimidation of and violence against journalists and human rights defenders, the Committee found the State party’s reply too generic. The Committee recommended that a letter be sent to the State party on the discontinuation of the follow-up procedure.
キルギスタンに関して、ポリティ氏は、2010年の異民族間暴力問題と、人権侵害の事件の完全な調査に関するフォローアップ報告を想起させた。委員会は、民族不寛容の根本原因と民族間の寛容を促進するための努力に関する追加情報を要請していた。委員会はまた、拷問や虐待の事件の迅速かつ公平な調査を行うことを求めていた。ジャーナリストや人権擁護者に対する表現の自由や脅迫や暴力に関して、委員会は、同締約国の回答があまりにも一般的であると見なした。委員会は、フォローアップ手続の中止に関する書簡を締約国に送付するよう勧告した。

Experts observed that more information was needed on the funding of Kyrgyzstan’s Anti-Torture Centre, and on details of initiatives promoting inter-ethnic tolerance. In the case of torture of Mr. Askarov, the Committee should note the referral of the case. Mr. Politi accepted Experts’ proposals and noted as positive the fact that a new trial on the Askarov case was ongoing in Kyrgyzstan.
専門家は、キルギスタンの反拷問センターの資金調達と、民族間の寛容を促進するイニシアティブの詳細に関して、更なる情報が必要であると意見を述べた。 アスカロフ氏の拷問の事件において、委員会は事件の紹介に留意すべきである。ポリティ氏は専門家の提案を受け入れ、アスカロフ事件に関する新たな裁判がキルギスタンにおいて進行中だったという事実を肯定的に指摘した。

On Japan, Mr. Politi said that the follow-up report concerned the death penalty, reduction of the eligible crimes for capital punishment, the strengthening of the legal safeguards against wrongful sentencing to death, and the review of the death penalty cases. The Committee regretted the absence of measures to guarantee that confessions under duress would not be accepted in courts. The third area concerned the human rights violations against comfort women, access to justice, full reparations to families of victims, and public apology. The fourth area related to the protection of foreign trainees, labour-related deaths, the number of labour inspections, and the establishment of an independent complaints mechanisms and sanctioning of labour trafficking. The fifth area concerned Japan’s substitute detention system, alternatives to detention, the right to legal counsel, and the complaint review mechanism. The Committee recommended that a letter be sent to the State party on the discontinuation of the follow-up procedure.
日本に関しては、ポリティ氏は、フォローアップ報告は、死刑、死刑を適用される犯罪の削減、不当な死刑判決に対する法的保護措置の強化および死刑判決の見直しに関してだったと述べた。委員会は、強制による自供が裁判所で受理されないことを保証する措置がないことが遺憾だった。第三の領域は、慰安婦に対する人権侵害、司法へのアクセス、被害者の家族に対する完全な補償、そして公的な謝罪に関してだった。第四の領域は、外国人研修生の保護、労働関連の死亡、労働監査の回数、独立した苦情メカニズムの確立、労働者取引の制裁措置に関連した。第五の分野は、日本の代替収容制度、収容代替措置、法律顧問への権利、苦情審査のメカニズムに関してだった。委員会は、フォローアップ手続の中止に関する書簡を締約国に送付するよう勧告した。

Experts proposed that Japan be asked whether the audio-visual recordings in interrogations in all capital punishment cases would be applied. The State party should be more encouraged on the issue of comfort women with a higher grading on that issue, in light of its financial contribution to the Korean foundation on comfort women. Mr. Politi accepted those recommendations.
専門家は、すべての死刑判決における取り調べにおいて視聴覚記録が適用されるかどうか日本に質問するよう提案した。同締約国は、慰安婦に関する韓国の財団への財政的貢献を考慮し、この問題に関するより高い評価により、慰安婦問題に関してさらに促されるべきである。ポリティ氏はこれらの勧告を受け入れた。

The Committee then proceeded to adopt the draft report on follow-up to the concluding observations of the Human Rights Committee.
委員会はその後、自由権規約委員会の総括所見へのフォローアップに関する報告草案の採択を進めた。


2017年8月4日

*1:これと同時期、2016年12月提出の「第7回・第8回・第9回政府報告に関する人種差別撤廃委員会の最終見解パラグラフ17,18及び22並びに19及び21に含まれる勧告のフォローアップ情報」でも言及していた(パラグラフ4)。「人種差別撤廃委員会の最終見解(CERD/C/JPN/CO/7-9)に対する日本政府コメント」(2016年12月)(仮訳(PDF)/英語正文(PDF)- 委員会最終見解でフォローアップ報告を要請された勧告のパラグラフ18分についての報告。

国連公式文書システム(英語):CERD/C/JPN/CO/7-9/ADD.2

*2:なお、この CCPR/C/116/2 を受けて日本政府に送付された書簡「日本政府コメントに対する自由権規約委員会の分析評価報告書」にはこの項目 (e) は挙がっていない。