dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第40回人権理事会:プライバシーの権利および文化的権利に関する集約化双方向対話


文書番号:HRC/19/13E

ノート:

  • カリマ・ベヌーン文化的権利の分野における特別報告者がチベットの活動家タシ・ワンチュク氏に言及し、中国が反発:「チベットにおける状況に関する非難を容認しない」。韓国が発言し、プライバシーに関する特別報告者が彼のマンデートへの韓国による資金援助に言及。

  • プライバシーに関する特別報告者の年次報告書( A/HRC/40/63 )
    テロ等準備罪」公開書簡のジョセフ・ケナタッチ博士が報告。

    会合での日本への言及は(本要約によれば)なかったようだが、年次報告書によれば、欧州データ保護会議(European Data Protection Board: EDPB)に「証拠」を提出し、同会議による欧州委員会に対する「日欧個人データ移転にかかわる相互認証」(本年1月発効)への意見(勧告)取りまとめに「介入」したとある(先行未編集版パラグラフ41)。下記は個人情報保護委員会内閣府外局)ウェブサイトより *1

    EDPB の意見書というのは下記の模様(2018年12月5日採択)。

    「日本における個人情報の適切な保護に関する欧州委員会草案の実施に関する決定書に関する意見2018年28号 | 欧州データ保護会議」上掲リンク先 PDF のパラグラフ141に、

    広範囲な適用範囲について、それは曖昧で広すぎると伝えられる「組織犯罪グループ」の定義に依存しており、ジョセフ・ケナタッチ国連特別報告者含む複数の解説者によって懸念表明が与えられた。

    云々とある。なにかといえば、

    この点に関して、EDPB は、日本が国連国際犯罪防止条約(UNTOC)を遵守するというコンテクストで最近、2017年6月15日に採択された、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」に注目している。

    と、要するに上掲の「テロ等準備罪」についてなのであった。先の年次報告書パラグラフ41には、

    41. 諜報活動の監視は、日本の国内法および保障措置の十分性を検討する際の欧州データ保護会議の手続きにおける特別報告者の介入の主な焦点だった。特別報告者の提出物と証拠は、日本に関する十分性認定調査への一定期間の不認可につながった、2018年12月5日の討議で議論された。

    とあり、( EDPB の意見書には膨大な「意見」が示されており、その中でケナタッチ氏が登場しているのは一か所だけのようだが)「一定期間の不認可」に<貢献>したのであると。

    いっぽう日本側の個人情報保護委員会は2018年12月26日に、

    欧州委員会による十分性認定については、12 月4日に開催された EDPB(欧州データ保護会議)の会議において、欧州委員会が提案した日本の十分性認定案を歓迎する意見を採択したところ、事務的な手続きのため、欧州委員会による最終決定が1月中になると見込まれています。

    […]

    なお、十分性認定については、12 月 11 日に行われた欧州議会本会議においても、議員から賛成の意見が示されています。

    と報じていたが(下記)、

    「日欧の個人データ移転に係る相互認証の時期について」どうやらこの「事務的な手続き」に要する期間が、「一定期間の不認可」ということのようである(しかし、お互いみごとに双方の立場を反映した表現を取るものではある)。

    なお、EDPB の意見書は、政府による監視活動に関連してアメリカのオンライン・メディア、『インターセプト(The Intercept)』による下記「レポート」(2018年5月19日)を取り上げている(パラグラフ218)。

    「語られざる日本の秘密諜報組織」(ライアン・ギャラガー記者)NHK は、『NHKスぺシャル』で「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」という番組を『インターセプト』と共同制作している。

    NHKスペシャル | 日本の諜報スクープ 最高機密ファイル」(2018年5月19日放映)

    「秘密のベールに包まれてきた日本の諜報活動」である。日本の情報機関てそんな大したモンなのか?、というところで潮匡人氏が一蹴していた。インターセプト』の方は、「情報本部電波部(Directorate for Signals Intelligence:DFS)の職員約 1,700 人に対し、英国は 6,000 人、NSA は 30,000 人といった材料も提供したりしているが、こちらも「扇情的」というものだろう。ところがこの DFS による「無差別大量監視」についてのレポート、上掲の個人情報保護委員会の2018年12月26日が報じていた、欧州議会本会議決議でも数ある EDPB の意見のなかから取り上げられ、懸念が表明されたりしている(パラグラフ24)。

    24. 「約1,700人の職員を擁し、電話、電子メール、およびその他の通信に関して二十四時間体制で傍受する監視施設を少なくとも六つ有する」日本の情報本部電波部(DFS)に関するメディアの報道を承知しており、無差別大量監視のこの要素が施行決定草案において言及されてさえいないことを懸念し、欧州委員会に対し日本の大量監視に関するより多くの情報を提供するよう要請し、この大量監視がシュレム判決(判例C-362/14)において欧州司法裁判所により定められた基準の試験に合格しないことを深刻に懸念する。

    「採択文書 - 2018年12月13日木曜日 - 日本から提供された個人データ保護の十分性 - P8_TA-PROV(2018)0529」(欧州議会ケナタッチ氏は2018年の年次報告以降の活動概要において、自由人権協会や日弁連を含むさまざまな機関のコンサルティング、と報告している(年次報告書パラグラフ3(e))。『インターセプト』レポートの EDPB への出どころは…というのは勘ぐり過ぎか(?)。

掲載URL:
https://www.unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/A345BB64F6AD6E73C12583B000504499?OpenDocument


HUMAN RIGHTS COUNCIL HOLDS CLUSTERED INTERACTIVE DIALOGUE ON THE RIGHT TO PRIVACY AND ON CULTURAL RIGHTS
人権理事会、プライバシーの権利および文化的権利に関する集約化双方向対話を開催

1 March 2019
2019年3月1日

The Human Rights Council this morning held a clustered interactive dialogue with Joseph Cannataci, Special Rapporteur on the right to privacy, and Karima Bennoune, Special Rapporteur in the field of cultural rights.
人権理事会は、今朝、プライバシーの権利に関する特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ、および文化的権利の分野における特別報告者、カリマ・ベヌーンとの集約化双方向対話を開催した。

[…]

The Council will next meet this afternoon at 3 p.m., to hold an interactive dialogue with the Special Rapporteur on the promotion and protection of human rights and fundamental freedoms while countering terrorism.
理事会は、次に、テロリズム対策の一方での人権と基本的自由の促進と保護に関する特別報告者との双方向対話を開催するために、この午後3時に会合を行なう。

[…]

Documentation
ドキュメンテーション

The Council has before it the Report of the Special Rapporteur on the right to privacy (A/HRC/40/63). (Advance unedited version: A/HRC/40/63)
理事会には、その前にプライバシーの権利に関する特別報告者報告書(A/HRC/40/63)がある。(先行未編集版:A/HRC/40/63

[…]

Presentation of Reports by the Special Rapporteur on the Right to Privacy and the Special Rapporteur in the Field of Cultural Rights
プライバシーの権利に関する特別報告者および文化的権利の分野における特別報告者による報告のプレゼンテーション

[…]

KARIMA BENNOUNE, Special Rapporteur in the field of cultural rights, presenting her report on Malaysia,[…]
文化的権利の分野における特別報告者、カリマ・ベヌーンは、マレーシアに関する報告書を発表し、[…]

Presenting her thematic report on the tenth anniversary of the cultural rights mandate, the Special Rapporteur noted that it was a critical moment for assessing progress made in the implementation of cultural rights. During its first decade, the mandate on cultural rights had produced 16 thematic reports, and had clarified the scope of cultural rights, demonstrating how cultural rights and cultural diversity contributed to strengthening the universal human rights framework. The Special Rapporteur called for the immediate release of Mauritanian blogger Cheikh Ould Mohamed M’kheitir, and Tashi Wangchuk, a Tibetan language rights defender jailed by Chinese authorities. It was noted that the implementation of cultural rights at the national and international levels remained one of the main outstanding challenges. Greater funding and staffing were needed for the United Nations work on cultural rights. The Human Rights Council, it was noted, could do more by drawing attention to States that did not respond favourably to requests for visits by inquiring about follow-up recommendations made during the Universal Periodic Review. There have been many advances in the field of cultural rights in the first decade of the mandate, including noticeable developments in the use of human rights language and approaches in various fields of the mandate. Cultural rights needed to be mainstreamed across the United Nations human rights system, which must dedicate more resources to their implementation. The Special Rapporteur called on Governments, United Nations bodies, civil society and experts to develop cultural rights action plans, setting specific goals to be achieved during the next 10 years of the mandate and to be reported on in 2029.
文化的権利のマンデート十周年に関するテーマ別報告を発表し、特別報告者は、文化的権利実施における進捗状況を評価する重要な時期であると指摘した。その最初の十年間で、文化的権利と文化的多様性が普遍的な人権の枠組みの強化にいかに貢献したかを実証する、文化的権利に関するマンデートは16のテーマ別報告書を作成した。特別報告者は、モーリタニアのブロガー、シェイク・オールド・ムハンマド・ムヘイティールと、中国当局によって刑務所に入れられたチベット人言語権利擁護者、タシ・ワンチュクの即時釈放を要請した。国内および国際レベルでの文化的権利の実施は、依然として主要な未解決の課題のひとつであると指摘した。国連の文化的権利に関する取り組みには、より大きな資金と人員が必要だった。人権理事会は、普遍的定期的審査中に行なわれたフォローアップ勧告について調査する訪問要請に好意的に反応しなかった締約国に注意を喚起することによって、さらに多くのことができると指摘された。マンデートの最初の十年間で、文化的権利の分野では、人権の言葉の使用における目覚ましい発展や、マンデートのさまざまな分野でのアプローチを含め、多くの進展があった。文化的権利は国連の人権システム全体に主流化する必要があり、それらの実施により多くの資源を割かなければならなかった。特別報告者は、政府、国連機関、市民社会および専門家に対し、今後十年間のマンデート期間中に達成され、2029年に報告されるべき具体的目標を設定するよう要請した。

[…]

Interactive Dialogue
双方向対話

[…]

Republic of Korea stated that the right to privacy was an essential ingredient of democratic societies and facilitated the exercise of other human rights. It highlighted the importance that the monitoring of the enjoyment of this right should not be limited to certain regions and welcomed the Rapporteur’s plan to focus further on Africa, Asia and South America during 2019 and 2020 despite constraints in time and resources.
韓国は、プライバシーの権利は民主社会の不可欠な要素であり、他の人権の行使を促進したと表明した。この権利の享受の監視が特定の地域に限定されるべきではないことの重要性を強調し、時間と資源の制約にもかかわらず2019年と2020年中のアフリカ、アジアおよび南アメリカにさらに焦点を合わせるという報告者の計画を歓迎した。

[…]

Interactive Dialogue
双方向対話

China said it would not tolerate accusations regarding the situation in Tibet. It had rolled out new action plans on the regulation of collection, storage and decimation of private information, as well as new initiatives to build cultural centres in all villages, especially in rural areas.
中国は、チベットにおける状況に関する非難を容認しないと述べた。個人情報の収集、保管、間引きの規制に関する新しい行動計画、加えて、すべての村落、とくに農村地域における文化センターを建設するための新しい取り組みを発表した。

[…]

Concluding Remarks
結語

JOSEPH CANNATACI, Special Rapporteur on the right to privacy, noted that the overwhelming majority of States and non-governmental organizations had welcomed the work of the mandate of the Special Rapporteur on the right to privacy. Mr. Cannataci emphasized the importance of the right to privacy for children, and expressed hope to produce a report on this issue over the coming two years. The Special Rapporteur thanked delegations and human rights organizations for their support for the mandate, and singled out the Republic of Korea for its recent financial support. Regarding a question from Algeria, the Special Rapporteur said that States needed to look at whether their existing legislation was adequate for addressing privacy, particularly legislation for the oversight of surveillance. However, it was noted that legislation needed to be complemented by appropriate resources – the law alone was not enough. Regarding a question from Malta, it was recommended that colleagues looked at the perennial problem in the field – not the lack of recognition for the right to privacy, but more specifically, what could be done about it, notably the problem of jurisdiction. Regarding a point raised by Gabon on anonymity, the Special Rapporteur said that anonymity was a double-edged sword: in some countries it could provide protection for human rights activists, but in others it be could be used for surveillance or privacy infringement. Regarding a question from Cameroon, Mr. Cannataci noted that to improve legislation on surveillance, it was important to set up an independent authority, as well as appropriate resources to this point. He noted that the mandate had formally requested India to invite him to carry out a country visit.
ジョセフ・ケナタッチ、プライバシーの権利に関する特別報告者は、圧倒的多数の締約国および非政府組織が、プライバシーの権利に関する特別報告者のマンデートの作業を歓迎していたと指摘した。ケナタッチ氏は、児童のためのプライバシー保護の権利の重要性を強調し、今後二年間でこの問題に関する報告書を作成する希望を表明した。特別報告者は、そのマンデートのための支援について代表団や人権組織に感謝し、その最近の資金援助について韓国を選び出した。[…]

[…]


2019年3月4日

*1: EU 側からみると、

EDPB は、EU - 日本の十分性決定が最重要事項であると考えている。一般データ保護規則(GDPR)の適用開始以来の最初の十分性判断として、先例を定めることになる。
とのことである。ちなみに「相互認証」というからには日本側からの懸念もあってしかるべきだがその辺は不明。

「欧州データ保護会議 - 第五回プレナリーセッション:EU - 日本間の十分性決定草案、DPIA リスト( DK 、HR 、LU 、および SI )、および認定に関するガイドライン| 欧州データ保護会議」(2018年12月5日)