dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第42回人権理事会:(25回会合)ポルトガル、ブータン、ドミニカおよび北朝鮮の普遍的定期的審査結果を採択


文書番号:——

ノート:

  • 北朝鮮の UPR は五月の作業部会で提起された262件の勧告のうち、199件を「受け入れ」(相当)、63件を「留意」とし(下記掲載の国連 UPR 情報ホームページリンク先の作業部会審査報告書草案 A/HRC/WG.6/33/L.8 (2019年5月14日/先行版)*1 および関連エントリ 2019-05-14 参照)、今回の報告書 A/HRC/42/10(2019年6月25日/未編集版)でもそのように記載されているのだが、被審査国の対応を記載した報告書補遺  A/HRC/42/10/Add.1(2018年8月28日/先行版)では「受け入れ」:132件と大幅ダウン、「留意」:56件に加えて「支持せず(do not enjoy the support)」とするものが11件あり、計199件。上掲エントリに掲載した一覧はこのようになるようだ。

        審査日 勧告 コメ
    ント
    国数
    備考
    件数 受け入れ 留意
    件数
    支持せず
    件数
    件数 (率)
    中国 2018-11-06 346 284 82% 62 - 150  
    北朝鮮 2019-05-09 262 132 50% 56 74(=11+63) - 報告書補遺
    199 76% 63 - 88 草案/報告書
    韓国 2017-11-09 218 121 56% 97 - 95  
    日本 2017-11-14 247 145 67% 72 - 106  

    UPR 第三サイクル審査比較

    上記報告書補遺にこうある。要するに草案あるいは報告書に「留意」とある63件については「まったく[outright]受け入れ」ておらず、残る「受け入れ」(相当)となっていた199について「関連する国内組織および機関との幅広い協議の中で勧告の真剣な検討を行な」った結果132を「受け入れ」とし、11を(新たに)「受け入れない」ことにしたと。全勧告件数262を明記していないため、なにやらぱっと見11件しか「受け入れない」がないように見えなくもないのだが、北朝鮮的にはそのような意図はなく(?)元の「留意」63件は端から対象外という態度を押し通しているというところか。

    3. 審査中に行なわれた262件の勧告のうち、DPRK は、敵対勢力によって捏造された虚偽の情報に基づき DPRK の人権状況をひどく歪め政治的目的を追求しているため、63件の勧告をまったく受け入れなかった。さらに、適切な手続による検討を経た上で、適切な時期にその立場を提示すると表明した。

    4. DPRK は、関連する国内組織および機関との幅広い協議の中で勧告の真剣な検討を行ない、勧告に関するその立場を以下のように表明する。

    5. 199件の勧告のうち、DPRK は132件の勧告を受け入れることを決定し、その多くは、 DPRK の一般的な現実に則り将来における具体的なフォローアップ措置を伴ない実施中である。

    6. DPRK は56件の勧告に留意することを決定した。これらの勧告は近い将来において簡単に履行することはできないが、人権の促進と保護についての国際的傾向に対応していた。一部の要素は、DPRK の国内法に反映することにより既に履行されており、これらの勧告の完全履行は、条件と環境が将来において提供される際に考慮される。

    7. DPRK は、独立した判断と決定によって決定される DPRK の国家主権に関連する11の勧告を受け入れない。それらは国内法および DPRK の一般的現実に合致しない。政治的に動機付けられた偏見を持った意見や勧告は、さらなる検討の余地なくつねに拒否される。

    なお、勧告を「受け入れない」場合でも「留意」とする、というような決まり、あるいは慣行(?)があった筈で、日本の報告書補遺も「受け入れ」と「留意」に分けた上で、後者を「フォローアップすることに一部同意する」「留意する」および「受け入れない」の三つに分類している(関連エントリ 2018-03-19 参照)。この「決まり」に従えば「受け入れ」:132、「留意」:130(内訳は「留意する」:56、「受け入れない」:74(=63+11)、など)となる計算である *2 。いわば外交儀礼的な分類にも関わらず、この74件については「留意」を認めてしまうと責任者は粛清されてしまうくらいの勢いの事情でもあったのか(笑)。報告書補遺は最後に力強く(?)こう締めくくる。

    8. DPRKも将来、真の人権の促進と保護のための対話と協力を奨励するために積極的にUPRプロセスに参加し、国際社会の前で誠実に義務を果たし続ける。
  • 74件は一切「留意」に入れないという姿勢は置くとしても、報告書本体は五月の作業部会の「報告」なので、それに対する審査国の対応を記した補遺とは「受け入れ」(相当)の件数が一致しないこと自体はおかしくはないのだろうが、そうであったとしてもこれは珍しいことのようにおもわれる(しかも「受け入れ」(相当)がマイナス67件の大幅減)。上掲の表どおり、報告書本体(および草案)だけを見ると「受け入れ」が多く対外的には体裁はよいのだが、それが目的ともおもえない。この「関連する国内組織および機関との幅広い協議の中で勧告の真剣な検討を行な」った結果マイナスとなった67件がどのような内容なのか少々気になるところなのだが余りに多いので(笑)、そこから今回「留意」に入れることも拒否した11件を拾ってみた。以下 126.xx など番号は、報告書および同補遺が参照している前者のパラグラフ番号。

  • 126.25(ウルグアイによる勧告、以下同様)は強制失踪条約の批准、1969年大韓航空機ハイジャック事件での拉致対応、126.26(クロアチア)、126.27(エストニア)、126.28(ラトビア)、126.29(ルクセンブルグ)は国際刑事裁判所のローマ規定批准、126.57(アメリカ)は人道支援機関のアクセス、126.182(フランス)、126.183(アイスランド)、126.184(イスラエル)、126.185(メキシコ)、126.186(ノルウェー)は女性に対する暴力対策。

    126.25 は関連エントリ 2019-05-14 で言及した。アイスランド大韓航空機ハイジャック事件を勧告しており(127.35)、そちらは「留意」に回していたにも関わらずウルグアイの方は「受け入れ」(相当)としており、前者は単に見落としていただけか?(笑)。アメリカによる人道支援に関する勧告では前後のアフガニスタン(126.56)、ポーランド(126.58)による同様の勧告は「支持する」である。ただしアメリカは「無制限かつ独立した」活動の許可を求めている。そのほかのアメリカの勧告は草案段階からの「留意」すなわち北朝鮮的には「受け入れない」対象。

    いっぽうローマ規定については今回「関連する国内組織および機関との幅広い協議の中で勧告の真剣な検討を行な」った結果、すべてを「受け入れない」に回したように見える。女性に対する暴力ではそのまま「支持する」としている勧告もあり、強姦や人身売買、拘留中の性暴力に言及したものを「受け入れない」に回したか。なお、報告書第 I 章に作業部会での各国との双方向対話が掲載されているが、ローマ規定や女性に対する暴力への言及は採録されていないようである。「まだ批准していない国際条約への加入の問題」について「すべての利害関係者と広範な協議を行っていた」との言及はあった(123)。

  • 日本の勧告一件(拉致問題、127.30)は草案段階からの「留意」=「受け入れない」対象。なお報告書で採録された作業部会での双方向対話における日本とのやり取りは関連エントリ 2019-05-14 に追記する。

  • ポルトガルブータン、ドミニカ、北朝鮮の普遍的定期的審査の結果検討で中国、同じくブータン北朝鮮が発言。同北朝鮮で韓国が発言、南北離散家族問題解決のための協力(126.197)の受け入れに「感謝」など。拉致問題への対応(127.31)(関連エントリ 2019-05-14 参照)は無視されているのだが *3

  • 国連人権高等弁務官事務所ホームページ(英語))

    「 OHCHR | UPR - 北朝鮮」(英語

    • 作業部会の結果報告補遺 - A/HRC/42/10/Add.1「普遍的定期的審査に関する作業部会の報告 北朝鮮 補遺」先行版(2019年8月29日)(英語(Word))
    • 作業部会の結果報告 - A/HRC/42/10「普遍的定期的審査に関する作業部会の報告 北朝鮮」(2019年6月19日)(英語(PDF))

    「 OHCHR | UPR 国別ドキュメンテーション」(英語

  • (国連 UPR 情報ホームページ(英語版))

    「 UPR 北朝鮮 - セッション33 / 2019年5月 - 作業部会における審査 - 英語 | UPR 情報」

  • UN Web TV

    ポルトガル、UPR 報告検討 - 42回人権理事会定例セッション、25回会合

    ブータン、UPR 報告検討 - 42回人権理事会定例セッション、25回会合

    ドミニカ、UPR 報告検討 - 42回人権理事会定例セッション、25回会合

    北朝鮮、UPR 報告検討 - 42回人権理事会定例セッション、25回会合

  • 関連エントリ

    (作業部会審査結果)( UPR 第三サイクル審査結果)

    ( UPR における勧告傾向)

掲載URL:——


2019年9月24日

*1:なお、この審査も草案の改訂版(2019年5月24日「完成」予定)はアップされず「先行版」のまま報告書が発行されている。ただし中国審査では要約されていた第 I 章:審査手続の議事録概要での各国との双方向対話は個別の発言要約が採録されている(以上関連エントリ 2019-05-14 および国連 UPR 情報ホームページリンク先の草案、ならびに関連エントリ 2019-03-15 参照)。

*2:報告書は「未編集版」ということもあり改定される可能性もあるが、この内容で理事会が採択している(今回の理事会会合でこの件への言及等あったのかについては未確認)。

*3:下記のような報道もあった(ニューズウィーク/2019年8月27日)。