dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

こんまり先生とジョーダン・ピーターソン教授と海外の鳥居ブーム(?)と


Get Your Bloody Darn House In Order
「鳥居ブーム」などというものがあるのか知らないが、伏見稲荷大社は言うにおよばず神秘的なパワースポット(?)として海外からのツーリストに人気のようだ。

で、少々以前の記事になるが、アメリカでも片付けブームの旋風を巻き起こし、2015年にはタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれてしまった *1 こんまり先生こと近藤麻理恵氏であります。190か国で放映されているという『KonMari 〜人生がときめく片づけの魔法〜(Tidying Up with Marie Kondo)』に続いて、心理学者で左翼の天敵(?)、ジョーダン・ピーターソン(Jordan Peterson)トロント大学教授 *2 と(!)ホストを務める番組を Netflix が製作するそうな。タイトルは Get Your Bloody Darn House in Order『あなたの劇ヤバな家を整頓しよう』(的な?)。今年後半リリースとある(下記)。

「ジョーダン・ピーターソン、マリエ・コンドーが新番組『あなたの劇ヤバな家を整頓しよう』のホストに」(バビロン・ビー/2019年1月21日)

エピソードにはマリエ・コンドー氏と通訳が登場し、家をよく整理する方法に関するヒントを提供する。いっぽうピーターソンは家の周りを歩き回り、「それは犠牲についてだ、なんてこった!」「あなたがするひどい[Bloody]ことやしないことすべてに代償を払おうとしている。それはどういうことなのか?」などと叫んでいる。彼が進化の問題[the weeds of evolution]、西洋の宗教あるいはドストエフスキーの著作に向かいはじめると、ピーターソンにも通訳が与えられるかもしれない。

(苦笑)。『バビロン・ビー(The Babylon Bee)』というサイトは、下記ワシントン・ポスト(2016年4月4日)によれば福音派系の風刺サイトということである。

「魂に良いフェイクニュース」(Fake news that’s good for the soul)(英語

当方ピーターソン教授の著書も読んだことはないのだが(汗)、彼は宗教の重要性を強調する(らしい)*3

いっぽうこんまり先生の片付け哲学については、海外メディアで禅を結び付けて解説されたりすることがあるようだ。(氏が実際にそのように述べているのかどうかも知らないが)日本といえば禅、というのも(ひと昔前の)ステレオタイプなかんじではある。また、学生時代にこんまり先生が巫女のアルバイトをしていたことに言及し、「浄化の儀式を非常に重視する宗教」*4 であるところの神道の考え方との関連を指摘するものもあるようである。

「マリエ・コンドーのこんまりメソッドの体系化に神道がどのような影響を与えたのか」(バッスル[Bustle]/2019年1月25日)

両方ともなにか神秘的なものをくっつけて記事いっぽん完成的な手際の良さ、あるいはそれっぽい理屈でもっともらしく見せるやり方ではないか?、といえるかもしれない。どちらにも不案内な当方が言ってもなんの説得力もないのだが、しかしながら、禅に比べれば神道の方がこんまりメソッドにはしっくり来るような気がする。その禅やフジヤマ、ゲイシャ(やハイテク、さいきん(でもないね)のアニメや食)などに続く、あらたな日本のアイコン足り得るのか。片付けではなく、禅の精神ならぬ神道の精神の方についてである。

コッカシントーとしてのよからぬ「イメージ」も付きまとっていることは承知しているが、アニメやマンガ、あるいはネットによる日本再発見(?)による影響なのか、万物に神が宿るという八百万の神などの考え方については一定の理解がひろがりつつあるようにも思える。が、今回おもいあたったのはそこではなく *5 、穢れを祓い、あるいは禊ぎ、本来のよきものを取り戻すというのが神道の教えであるとすれば(自信なし(汗)、また、時代や状況の変化なども含め絶えず検討を加え見直しを行ない、元々よきものとしてあったはずのものを取り戻していくことを本来の「保守」とするならば、両者の考え方には共通するものがあるのではないか、ということである *6

ピーターソン教授が神道についてどのように発言しているのかは知らないし、「自身を「古典的な英国リベラル主義者」と定義」しているようだ *7 。また禅にせよヨガにせよ欧米においてこの手の非西洋的な思想(?)に飛びつくのは昔から「意識高い系」のひとびとと決まってる *8 。が、こんまり先生が反左翼の急先鋒ピーターソン教授と番組に出演ということで、ちょっとおもいあたったことを記してみた次第。


2019年4月25日

*1:タイム(2015年4月16日)

*2:ビジネスジャーナル(2018年3月4日)

*3:「英紙「ガーディアン」記者が挑発的に聞いてみた──「貴様何様?」」(クーリエ・ジャポン/2018年5月27日、一部限定公開)。
ガーディアンの元記事(2018年1月21日)。

*4:「マリエ・コンドーは乱雑の乙女(Marie Kondo is the maiden of mess)」(オーストラリアン/2014年4月19日)

*5:よきものを見出すという点では同じことなのだが。

*6:こんまり先生はそれを「ときめき」と表現する。アメリカでも本を捨てるなどケシカラン的反応(実際に破棄するのかはともかく)もあったようだが、「ときめき」つまり「よきもの」を感じないものは、いわば穢れといってしまって差し支えないのではないか(こんまり先生がそのように言ってるのかは知らない。当方の勝手な見立て)。

*7:*3 参照。少なくともというか、とうぜんながらアメリカ(などのウルトラ?)リベラルではないと。

*8:余談だがタイム誌の推薦人の女優ジェイミー・リー・カーティス*2 参照)っていかにもリベラルなお方ってかんじ(よく知らないが)。