dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

日本は福島への帰還を停止しなければならない、放射線が懸念に残る、国連専門家言う


文書番号:(なし)

ノート:

  • 国連人権高等弁務官事務所ホームページ「プレスリリース」(英語)より。

  • 発表したのは、バスクト・トゥンカック有害物質および廃棄物の環境面での適切な管理および廃棄の人権への影響に関する特別報告者(トルコ/アメリカ)*1

  • 日本政府の反論は総会第三委員会についての関連エントリ 2018-10-25 参照。当記者発表によれば、特別報告者による公式の国別訪問を日本政府が渋っている印象を受ける。訪日が実現すれば反原発派が総力を挙げて情報インプットを図り、また政府側の説明は無視されるというパターンになる可能性も大だが、にしても隠すところないのであれば堂々と受け入れじゅうぶん説明すればよろしい。というか外務省が同特別報告者(に限らないかもしれないが)にかなりの不信感を抱いているというようなこともあるのかも(?)。関連エントリ 2018-08-16 参照。

  • (追記)11月6日になって外務省から下記の発表があった。関連エントリ 2018-08-16 の外務省回答を受けて9月5日に特別報告者から再び照会があり、「回答を作成中だった10月25日」に「一方的な申立てに基づき,不正確な内容を含む報道発表を発出した」ということらしい。
    前回はタッチの差で回答済みにもかかわらずそれを無視したかのようにもみえたが、やはりこんかい同様「作成中」に「発出」されたということなんでしょう。回答期限がないので外務省の不満に理があるともいえるが、よくわからない(別に条約等の規定や慣例がありそうである)。今回は問い合わせ後二か月弱で「発出」。

  • (メディア報道より)

    上記8月の記者発表のときよりは地味なかんじ。下記は AFP 転電によるジャパントゥデイの記事最後の部分。

    放射線を恐れて家を逃れたおよそ1万2千人が、政府と被災した原子力発電所の運営会社である東京電力(TEPCO)に対して数十件の訴訟を提起した。

    福島災害は1986年のチェルノブイリ以来最悪であったが、死亡事例は1件しかなかった。メルトダウンを引き起こした津波で18,000人以上の人々が死亡または行方不明のままとなった。

    以前はことに海外でひどい報道もあったが、原発事故による死亡事例は1件と伝えている。が同じく AFP 転電のフィガロは引用した部分からこのセンテンスだけカットしている(なお AFP 日本語版も引用部分(全体を)カット)。NHK については関連エントリ 2018-10-25 参照。

    • 東京新聞(2018年10月26日)

    • 日本経済新聞(2018年10月26日)

    • テレ朝news(2018年10月26日)

    • AFP(2018年10月26日)

    • ジャパントゥデイ(2018年10月27日)- AFP 転電

      「日本、福島への帰還を止める国連の求めを拒否」

    • フィガロ(2018年10月26日)- AFP 転電

      「福島:日本、国連の批判を拒否」

    • AP(2018年10月26日)

      「国連専門家、子どもを福島近くに返すのを止めるよう日本に強く促す」

    • 共同通信(英語版)(2018年10月26日)

      「国連権利専門家、福島への帰還停止を日本に強く促す」

  • 関連エントリ

  • 掲載URL:
    https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=23772&LangID=E


Japan must halt returns to Fukushima, radiation remains a concern, says UN rights expert
日本は福島への帰還を停止しなければならない、放射線が懸念に残る、国連専門家言う

GENEVA (25 October 2018) - A UN human rights expert has urged the Japanese Government to halt the ongoing relocation of evacuees who are children and women of reproductive age to areas of Fukushima where radiation levels remain higher than what was considered safe or healthy before the nuclear disaster seven years ago.
ジュネーブ(2018年10月25日)– 国連人権専門家は、七年前の原子力災害以前に安全または健康的であるとみなしていたものより放射線レベルが高いままである、福島地域への児童と出産年齢女性の継続中の移転を中止するよう日本政府に強く促した。

The UN Special Rapporteur on hazardous substances and wastes, Baskut Tuncak, will present a report to the General Assembly in New York today, highlighting key cases of victims of toxic pollution brought to his attention in recent years that demand global action. The expert said the Japanese Government’s decision to raise by 20 times what it considered to be an acceptable level of radiation exposure was deeply troubling, highlighting in particular the potentially grave impact of excessive radiation on the health and wellbeing of children.
危険物質と廃棄物に関する国連特別報告者、バスクト・トゥンカックは、グローバルな行動が求められている、近年彼の注意を向けさせる毒性汚染被害者の主要なケースを強調し、本日ニューヨークにおいて総会に報告を提示する。同専門家は、とりわけ児童の健康と福祉に対する過度の放射線の重大な影響の可能性を強調し、放射線被ばくの許容レベルであるとみなしていたものを20倍引き上げるという日本政府の決定は深刻な問題だと述べた。

“It is disappointing to see Japan appear to all but ignore the 2017 recommendation of the UN human rights monitoring mechanism (UPR) to return back to what it considered an acceptable dose of radiation before the nuclear disaster,” he said.
原子力災害以前に許容放射線量とみなしていたものに戻すという国連人権監視機構(UPR)の2017年の勧告を日本がまったく無視しているように見えるのは残念である」、彼は述べた。

Following the nuclear disaster in 2011, which was triggered by a massive earthquake and tsunami, Japan raised the acceptable level of radiation for residents in Fukushima from 1 mSv/year to 20 mSv/year. The recommendation to lower acceptable levels of exposure to back to 1 mSv/yr was proposed by the Government of Germany and the Government of Japan ‘accepted to follow up’ on it, according to the UN database. However, in the expert’s view, the recommendation is not being implemented.
大規模な地震津波によって引き起こされた、2011年における原子力災害の後、日本は、福島における住民に対する放射線許容レベルを 1 mSv/年から 20 mSv/年に引き上げた。国連データベースによれば、1 mSv/yr に戻すために被ばく許容レベルを下げる勧告がドイツ政府により提案され、日本政府はそれに関してフォローアップすることを受け入れた。しかしながら、専門家の見解においては、この勧告は実施されていない。

Japan has a duty to prevent and minimise childhood exposure to radiation, added the UN expert referring to his 2016 report on childhood exposure to toxics. The UN Convention on the Rights of the Child, to which Japan is a Party, contains a clear obligation on States to respect, protect and fulfil the right of the child to life, to maximum development and to the highest attainable standard of health, taking their best interests into account. This, the expert said, requires State parties such as Japan to prevent and minimise avoidable exposure to radiation and other hazardous substances.
日本放射線への小児期被ばくを予防し最小限に抑える義務があり、同国連専門家は小児期の有害物質への被ばくに関する2016年の報告への言及を付け加えた。日本が締約国である、子どもの権利に関する国連条約は、締約国に対し生命、最大限の発達、および達成可能な最高水準の健康への子どもの権利を尊重し、保護し、履行し、彼らの最善の利益を考慮する明確な義務が含まれている。これは、放射線やその他の有害物質への被ばくの防止と回避可能な最小化を日本のような締約国に求めている、同専門家は述べた。

The Special Rapporteur said Japan should provide full details as to how its policy decisions in relation to the Fukushima Daiichi nuclear accident, including the lifting of evacuation orders and the setting of radiation limits at 20mSv/y, are not in contravention of the guiding principles of the Convention, including the best interests of the chid.
特別報告者は、避難命令の解除や 20 mSv/y での放射線制限の設定を含む、福島第一原子力事故に関する政策決定が、子どもの最善の利益を含む、条約の指針にどう違反していないかについて全詳細を提供すべきであると述べた。

Tuncak has expressed his concerns at the Human Rights Council in recent years, accompanied by explicit requests and pleas by concerned organisations for the Government to invite the mandate to conduct an official visit. The Japanese Government has a standing invitation to all mandate holders but has not to date invited the mandate on hazardous substances and wastes to conduct an official country visit.
トゥンカックは、公式訪問を行なうためのマンデートを政府が要請するための関係機関による明示的な要請と嘆願を伴う、近年における人権理事会での懸念を表明した。日本政府には、すべてのマンデート保持者への継続招待があるが、公式の国訪問を行なうための有害物質と廃棄物に関するマンデートを今まで要請していない。

Seven years after the nuclear disaster, actions for the reconstruction and revitalisation of Fukushima are in full implementation process, with evacuation orders lifted for most of the areas, and with plans in place for lifting evacuation orders in even the highest contaminated areas during the next five years. In March 2017 housing subsidies reportedly stopped to be provided to self-evacuees, who fled from areas other than the government-designated evacuation zones.
原子力災害から七年後、福島の復興と再生のための活動は、大部分の避難命令が解除され、次の五年間で最も汚染された地域でさえ避難命令を解除する計画が実施されている、完全な実行プロセスである。2017年3月、同政府が指定した避難区域以外の地域から逃れた自主避難者に提供される住宅補助金が停止されたと伝えられている。

“The combination of the Government’s decision to lift evacuation orders and the prefectural authorities’ decision to cease the provision of housing subsidies, places a large number of self-evacuees under immense pressure to return,” Tuncak said.
「同政府の避難命令を解除する決定と、住宅補助金の提供を停止する県当局の決定が組み合わさることで、多数の自己避難者が帰還するという計り知れない圧力のもとに置かれている」とトゥンカックは述べた。

“The gradual lifting of evacuation orders has created enormous strains on people whose lives have already been affected by the worst nuclear disaster of this century. Many feel they are being forced to return to areas that are unsafe, including those with radiation levels above what the Government previously considered safe.”
「避難命令の段階的解除は、今世紀最悪の原子力災害によってすでに生活が影響されている人々に対して大きな負担を生じさせた。多くは、政府が以前に安全とみなしたもの以上の放射線レベルのを含め、安全でない地域に戻ることを強いられていると感じている。

ENDS
終わり


2018年10月29日

*1:「OHCHR | バスクト・トゥンカック氏」「OHCHR | 有害廃棄物に関する特別報告者」