dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第38回人権理事会:レイシズム、人種差別、外国人差別および関連した不寛容に関する一般討論


文書番号:HRC18/107E

ノート:

  • 差別以前に政府が弾圧を続ける中国が、国際社会に向け「少数民族は体系的差別に苦しんだ」との指摘。そうしたチベットの状況について中国チベット文化保護・発展協会:中国は「文化と経済両面においてチベットの発展に大きな関心を払った」。

  • 中国チベット文化保護・発展協会(CAPDTC)
    当ブログでは中国人権研究会について "NNGO"(Non Non-Governmental Organization/非非政府組織)と書いているのだが、

    チベット亡命政権ウェブサイトの記事によれば、"GONGO"(Government Organized NGO/政府組織非政府組織)と呼ばれるらしい(苦笑)。2014年の UPR 中国審査において、中国の人権活動家、王炳章(ワン・ビンジャン)氏の娘で、同会合で発言した中国系カナダ人、ティアナ・ワン(王天安)氏 *1 に対し、CAPDTC のメンバーが会場で「脅迫」行為を行ない退去を命じられたとある。

    「これが中国がチベット文化を保護・発展させる方法である | チベット亡命政権」(2014年3月26日)

    (レコードチャイナ/2014年3月23日)チベット亡命政権の記事は、CAPDTC が「中華人民共和国民政部に登録され、同部の監督、監査および管理の対象となることを公然と認めている」ことを問題視していたが、中国の NGO なぞそんなもんだろうという。しかしながら、最高幹部(senior leaders)に中国共産党統一戦線工作部の元部長や副部長(党中央委員)、中国人民政治協商会議のメンバーなどが名を連ね、また同記事が依拠していたニューヨーク・タイムズによると本部は北京・中南海の政府要人居住区向かいの厳重に警備された政府組織ビル内、お隣はその統一戦線工作部の本部ということらしい *2

    「表向きは N.G.O. からの中国人の男、人権聴聞会から出入り禁止 - ニューヨーク・タイムズ」(2014年3月24日)

    分かりやす過ぎる。同協会英語版サイトのアーカイブ*2 参照)によれば、協会の「活動範囲(Scope of Activities)」は以下のとおり。工作機関の活動内容(の婉曲)としか読めない(アンダーラインは当方)。

    協会は以下の活動を行うものとする:

    (1)チベット文化の歴史、現状、発展動向を調査研究し、その保護・発展に関する政府機関・経済社会組織への具体的提案を行なうこと。

    (2)チベットの宗教、教育、芸術、民俗習慣、医学、観光、環境保護などの全体的かつ真実の紹介を行なうために、チベット文化に関する国内外の展示会やセミナーを開催すること。

    (3)アジア太平洋地域における地域会議などの国際会議その他のみならず、国連人権委員会セッション、経済社会開発分野における国連会合、国連NGO会議に出席すること、

    (4)チベット学者とチベット芸術団を他国を訪問するために編成すること、チベットを訪れる外国人の友人を招待すること、海外に住むチベット人との広範な接触を行い、関連するサービスを提供すること、

    (5)国内外の組織や企業が、チベット文化の保護・発展に関するプログラムのための投資や人材育成を行なうことの追求、支援、組織および促進すること、

    (6)チベット文化の保護・発展に関するプログラムのために国家の関連法律に従って国内外で資金を調達すること、

    (7)チベット文化に関するコンサルティングサービスを提供すること。

    下記は統一戦線工作部による海外での浸透工作の手口を報じたフィナンシャルタイムズによる記事(大紀元/2017年11月3日)。第7支局がチベットを担当してるらしい。上記で「「統一戦線工作は威力絶大の必殺技」と讃えられて」おり、「党の指導下で、我々はこの必殺技をよりよく使いこなすべき」と発言した *3 と報じられている張裔炯(チャン・イーチォン)副部長は、CAPDTC の副会長(vice chairman)であった。

  • アゼルバイジャンが22日会合に続きアルメニアに言及し非難合戦(未抽出)。

  • 関連エントリ

掲載URL:
https://www.unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/68D7DA508BE945A3C12582BE00636C1D?OpenDocument


HUMAN RIGHTS COUNCIL HOLDS GENERAL DEBATE ON RACISM, RACIAL DISCRIMINATION, XENOPHOBIA AND RELATED INTOLERANCE
人権理事会、レイシズム、人種差別、外国人差別および関連した不寛容に関する一般討論を開催

2 July 2018
2018年7月2日

The Human Rights Council this afternoon held a general debate on racism, racial discrimination, xenophobia and related forms of intolerance.
この午後、人権理事会は、人レイシズム、人種差別、外国人差別および関連した不寛容に関する一般討論を開催した。

[…]

General Debate on Racism, Racial Discrimination, Xenophobia and Related Intolerance
レイシズム、人種差別、外国人差別および関連した不寛容に関する一般討論

[…]

China called on the international community to implement the Durban Declaration and Programme of Action. Progress had been made but violence against refugees was growing. Ethnic minorities suffered from systematic discrimination. China had always supported the international community in its struggle against racism. It called on countries affected by racism to show political will and zero tolerance against racism.
中国は、国際社会に対しダーバン宣言と行動計画を実施するよう要請した。進展がなされたが、難民に対する暴力が増大していた。少数民族は体系的差別に苦しんだ。中国は、レイシズムに対する闘いにおいて、つねに国際社会を支えていた。レイシズムにより影響された国々に対し政治的意思とレイシズムに対するゼロ・トレランスを示すよう要請した。

[…]

China Association for Preservation and Development of Tibetan Culture said that China paid great attention to the development of Tibet both in cultural and economic terms. Human rights in Tibet would be better protected through China’s openness.
中国チベット文化保存発展協会は、中国が文化と経済両面においてチベットの発展に大きな関心を払ったと述べた。チベットにおける人権は、中国の開放を通じよりよく保護される。

[…]


2018年7月4日

*1:後述のニューヨーク・タイムズの記事によれば国連ウォッチに招待され発言した模様。当ブログお馴染みの専務理事ヒレル・ノイアー氏も登場していた。

*2:同記事からの CAPDTC のウェブサイトへのリンク先はアクセス不能になっている(中国語版へリンク)。Wayback Machine の方も最後のアーカイブ(2017年6月)は中国政府公認(?)のブロック画面になっていた。下記はコンテンツを確認できる2016年12月14日アーカイブ英語版も同様だが、コンテンツを確認できた2016年12月13日アーカイブ「CAPDTC について(About CAPDTC)」ページに、前述の「民政部に登録され、同部の監督、監査および管理の対象となる」の文言があった。

*3:そのときとおもわれる会見の模様を報じた中国網の記事(2017年10月23日)。