dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第38回人権理事会:超法規的処刑および表現の自由に関する特別報告者との双方向対話/米国の理事会脱退表明


文書番号:HRC18/082E

ノート:

  • 前日から続くこのアジェンダにして中国や北への言及は(当要約によれば)、ヘルシンキ人権財団(本部ポーランドワルシャワ)が中国のサイバーセキュリティ法に言及したのみ(発言:メラニー・ブロンデル氏)。アメリカが脱退を表明するのもむべなるかな。「主権国家たる」中国は、サイバー空間における国家安全保障を維持するためにこの法律が必要で、その権利を有すると反論しているが、これでは同 NGO の見立てを否定できていない(同上)、というかネットにおける意見の自由への国家統制については否定する気もないというところか *1 。特別報告者(おなじみ(?)デイヴィッド・ケイ氏)は、コンテンツ・モデレーションの「ベストプラクティス」に関して(政府がコンテンツ・コントロールしまくりの)中国の企業を訪問するなどとのんきな(?)ことを述べている(確かにこの周辺の技術は進んでいるだろうが) 。

  • 中国が、アメリカの人権理事会脱退——というか報じられているのは理事国返上についてだとおもうのだが。いずれにせよ、理事国でなくても決議草案のスポンサーや会合での討議には参加できるのだが、そうした活動にも関わらないということなのだろう——表明に「失望」を表明。実際にはアメリカの影響力低下を歓迎だろう(アメリカ自身にすれば理事会で影響力を行使できないことに失望しての措置だろうが)。

    以下未抽出だが、その他に EU を代表してブルガリア、およびオーストラリアが遺憾の意、失望を表明。議長は次のステップとして脱退通知が正式に受領されれば、ただちに国連の慣行と総会決議 60/251 の規定に従いアメリカに替わる残りの任期の新メンバーを選出すると述べている *2 。なお、アメリカは前回第37回セッションのオープニングのハイレベル・セグメントでも理事会への失望を表明していた。下記は、第35回セッションでのヘイリー大使による声明(2017年6月6日、未抽出(英語))についての産経の報道。「米国は人権理参加について慎重に検討している」。

  • (外務省ホームページ)

    ※ 例によって無難な見解。

  • (各社報道より)
    NHK の、「イスラエルに偏見」のみを理由にする報道はどうなのか。朝日も見出しは同様だが、記事内では「人権侵害国」が理事国となっていることに言及している。CNN の記事は逆に「人権侵害国」についてのみ。共同:「失望の声相次ぐ」、発言は三か国( EU 代表含む)だが。

  • 関連エントリ

掲載URL:
https://www.unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/89894A16234574F5C12582B2004476FF?OpenDocument


HUMAN RIGHTS COUNCIL HOLDS INTERACTIVE DIALOGUE WITH SPECIAL RAPPORTEURS ON EXTRAJUDICIAL EXECUTIONS AND ON FREEDOM OF EXPRESSION
人権理事会、超法規的処刑および表現の自由に関する特別報告者との双方向対話を開催

Council Hears Statement by its President Responding to the United States’ Decision to Withdraw its Membership from the Council, and Addresses by the President of Slovenia and the Attorney General of Afghanistan
米国の理事会からのメンバーシップ脱退決定への議長による応答の声明、ならびにスロベニア大統領とアフガニスタン司法長官による演説を聞く

20 June 2018
2018年6月20日

The Human Rights Council this morning held a clustered interactive dialogue with the Special Rapporteur on extrajudicial, summary or arbitrary executions, and the Special Rapporteur on the promotion and protection of the right to freedom of opinion and expression. The Council also heard a statement by its President in response to the decision of the United States to withdraw its membership from the Council, and addresses by the President of Slovenia and the Attorney General of Afghanistan.
今朝の人権理事会は、超法規的・簡易的または恣意的処刑に関する特別報告者、および意見と表現の自由の権利の促進と保護に関する特別報告者との集約的双方向対話を開催した。理事会はまた、米国の理事会からのメンバーシップ脱退決定への議長による応答の声明、およびスロベニア大統領とアフガニスタン司法長官の演説も聞いた。

Vojislav Šuc, President of the Human Rights Council, said the United States had announced last night its decision to withdraw its membership from the Human Rights Council. He noted that in times when the value and strength of multilateralism and human rights were being challenged on a daily basis, it was essential to uphold a strong and vibrant Council and recognize it as a central part of the United Nations for the twenty-first century. He encouraged the United States to reconsider its position and re-engage with the Human Rights Council.
人権理事会議長、ヴォイスラヴ・シュッツは、米国が昨夜、人権理事会からのメンバーシップ脱退を発表したと述べた。彼は、多国間主義の価値と強さと人権が日常的に挑戦されているときにおいて、強く活気ある理事会を支え、それを二十一世紀のための国連の中心部分として認識することが不可欠であると指摘した。米国に立場を再考し、人権理事会と再関与するよう奨励した。

[…]

Agnes Callamard, Special Rapporteur on extrajudicial, summary or arbitrary executions, and David Kaye, Special Rapporteur on the promotion and protection of the right to freedom of opinion and expression, presented their reports on Tuesday, 19 June, and a summary of their statements is available here.
超法規的・簡易的または恣意的処刑に関する特別報告者、アニエス・カラマール、および意見と表現の自由の権利の促進と保護に関する特別報告者デイヴィッド・ケイは、6月19日火曜日に報告を発表し、声明の要約はこちらで利用可能である。

In her concluding remarks, Ms. Callamard recalled that in her report, she stressed the responsibility of States to protect civilians against non-state armed actors, and noted that the current legal framework to prevent violations by non-state armed actors was simply not working.
結語において、カラマール氏は、報告において非国家武装主体に対して民間人を保護するための締約国の責任を強調し、非国家武装主体による違反を防止するための現行の法的枠組みはまったく機能していないと指摘した。

Mr. Kaye, in his concluding remarks, underlined that a great value of the Council was the fact that civil society representatives had a chance to speak up, making the decision of the United States to withdraw even more regretful. He reiterated the worry about the growing trend by States, including European ones, to censor content prior to its publishing, and stressed the important role of States in ensuring that the freedom of expression was upheld.
ケイ氏は、結語において、理事会の大きな価値は、市民社会の代表が率直に話す機会があったという事実であり、脱退への米国の決定の実施をさらにいっそう遺憾だと強調した。ヨーロッパを含む、締約国による発表前に内容を検閲する傾向の増加について懸念を再確認し、表現の自由が維持されることの保証における締約国の重要な役割を強調した。

[…]

Comments by the Special Rapporteurs on Extrajudicial, Summary or Arbitrary Executions and on the Promotion and Protection of the Right to Freedom of Opinion and Expression
超法規的・簡易的または恣意的処刑に関する、および意見と表現の自由の促進と保護に関する特別報告者によるコメント

[…]

DAVID KAYE, Special Rapporteur on the promotion and protection of the right to freedom of opinion and expression, thanked to delegation of Mexico for its responses, stating that he was looking forward to working with the new Government. Concerning the thematic report, three general points were raised, on individuals, companies and governments seeking to respond to most of the questions. Overall efforts had to be geared to ensure the exercise of freedom of expression. The combination of corporate and State activity was making it much more difficult for individuals to enjoy their freedom of expression online. Concerning the best practices in content moderation, the mandate holder visited companies in Silicon Valley and was seeking to visit companies in Russia and China. On the process side, the largest companies understood that their imperative was to improve processes.
意見と表現の自由の権利の促進と保護に関する特別報告者、デイヴィッド・ケイは、新政府との作業を楽しみにしていたと表明し、メキシコ代表団に対応を感謝した。テーマ別報告に関しては、ほとんどの問題に対応しようとする個人、企業および政府に対して三つの一般的なポイントが提起された。表現の自由の行使を確実にするためには、全体的な取り組みがかみ合う必要があった。企業と国家活動の組み合わせは、個人がオンラインで表現の自由を享受することをはるかに困難にしていた。コンテンツ・モデレーションのベストプラクティスに関して、マンデート保持者は、シリコンバレーの企業を訪問し、ロシアと中国の企業を訪問しようとしていた。プロセス面では、最大企業は不可欠なのはプロセスの改善だと理解していた。

[…]

Interactive Dialogue
双方向対話

[…]

China said that armed non-State actors were usually active in war-torn areas and asked how to ensure the principles of sovereignty and territorial integrity in bringing non-State actors to justice, and in dealing with terrorism. China, a sovereign State, had the right to regulate the Internet and said that its Cyber Security Act was necessary to maintain national security in cyber space.
中国は、武装した非国家主体は通常、戦争で破壊された地域で活動していたと主張し、非国家主体に正義をもたらし、テロリズムに対処する際に主権と領土の保全の原則をどう確保するかを尋ねた。主権国家たる中国は、インターネットを規制する権利を有し、サイバー空間における国家安全保障を維持するためにサイバーセキュリティ法が必要だと述べた。

[…]

Statement by the President of the Human Rights Council on the Withdrawal of the United States from the Council
人権理事会からの米国の脱退に関する理事会議長による声明

[…]

China voiced disappointment over the United States’ withdrawal from the Human Rights Council. All delegations attached great importance to the Council and the principle of multilateralism. China would continue to work with other delegations constructively.
中国は、米国の人権理事会からの脱退に対する失望を表明した。すべての代表団は、理事会と多国間主義の原則を非常に重視していた。中国は他の代表団と建設的に協力し続ける。

[…]

Interactive Dialogue
双方向対話

[…]

Helsinki Foundation for Human Rights found that the 2016 Chinese Cybersecurity Law prohibited the use of the Internet for a wide range of ill-defined crimes of political nature and represented an attempt to legitimize measures designed to silence the criticism of the Chinese Government, especially in ethnic minority areas like Tibet.
ヘルシンキ人権財団は、2016年の中国のサイバーセキュリティ法は、幅広く曖昧な政治的犯罪についてインターネットの使用を禁止し、中国政府の、とくにチベットのような少数民族地域における批判を沈黙させるために策定された措置を合法化することを企てていることを示すと見ていた。

[…]


2018年6月22日

*1:午後の会合で答弁権を行使し「非政府組織」に反論しているので、ヘルシンキ人権財団の声明に対する発言ではないかもしれない(なお、発言順序も中国が先だったが、これについては書面提出した声明に対応して事前に発言した可能性はある)。午後の会合ではこの法律に関して「国民の意思」などにも言及している。関連エントリ2018-06-20 03:00 参照。

*2:なおロシアが理事国復帰の意向を示しているらしい。下掲はそのロシア/スプートニク日本(論評なし)と、イランの Pars Today の報道。