dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第69回女子差別撤廃委員会:韓国の第八回定期報告に対する審査における慰安婦問題への言及


文書番号:

  • 会議要約: CEDAW/18/005E

  • 要約記録: (午前)CEDAW/C/SR.1576 、(午後)CEDAW/C/SR.1577

ノート:

  • 国連ジュネーブ事務局ホームページ「プレスリリースと会議要約(Press Releases & Meeting Summaries)」より(北朝鮮への言及なども含め)抽出。なお、「会議要約」より詳細な  “Summary records(要約記録)” CEDAW/C/SR.1576 および SR.1577 がすでに採番されており、近々発行されるものとおもわれる。慰安婦問題に関する鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)女性家族部長官の発言についてはすでに産経等が詳しく報じているが、アップ時このエントリに追記する。

    追記:要約記録が人権高等弁務官事務所ホームページにアップされたので、慰安婦問題に関する質疑部分を抽出した(午前の部 SR.1576 )。発言はネパールのバンダナ・ラナ(Bandana Rana)委員とオーストリアリリアンホフマイスター(Lilian Hofmeister)委員。ホ委員は、2016年の日本審査においても中国の鄒(ゾウ)副委員長(当時)とともにこの問題を取り上げていた。また、鄭長官による、くだんの「性的奴隷制度」発言や「慰安婦研究所」の設立および昨年11月に制定を含む法案が国会で可決された「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」についての報告が採録されている。

  • 外務省が韓国政府に抗議した *1「性奴隷(sex slaves)」(あるいは「性的奴隷制度(Sexual Slavery) 」)という用語は、会議要約では採録されていない。この件に関する「裏合意」の経緯に言及した韓国の「慰安婦合意検討タスクフォース」報告については、下記掲載の関連エントリ 2018-03-05 参照。
  • (「専門家からの質問」での)「売春の非刑罰化(Decriminalization of prostitution)」は、参加者の奇怪なコスプレ姿(?)の「性売買特別法」反対デモの様子をネット上で見かけたり、一年前だが朝鮮日報(2016年3月31日)などの記事によれば、憲法裁判所判断で処罰は「合憲」、あるいは、(こちらも日帝残渣(?))「姦通罪」であれば2015年に廃止されていたようで(ハフポスト/2015年02月26日)、このうえ売春まで合法になれば大きな社会問題になると懸念されたりしていたらしい。で、報告書 CEDAW/C/KOR/8 をチラっと眺めてみたが、「第6条 売春被害者の保護と支援」によれば、「性的人身売買の手配行為の処罰に関する法律(?、The Act on the Punishment of Acts of Arranging Sexual Trafficking)」により、「性的人身売買」の「被害者は」非犯罪化されると(パラグラフ73)。委員のコメントは搾取の構造の中で売春女性を犯罪者とすることは認められないということは読み取れるのだが、少々「要約」し過ぎだろう。ただしもともと女子差別撤廃委員会の立場は、職業としての売春婦を選択する権利があり、売春を合法化して売春婦に保護やサービスを提供せよ、ということなのらしい(未確認)。アムネスティが性産業は「犯罪ではない」という方針を立て方々からバッシングされたこともあったようだ( CNN/2015年8月12日)。ここでのアムネスティ幹部キャサリン・マーフィー氏の「われわれの提案には多くの誤解がある」というのは、日本政府の謝罪とお見舞金への「誤解」に通ずるものがある。なお、審査に戻ると、下記の件については最近2審の高裁が国家による「人権尊重義務違反」と判断したようだが、とくに言及は無いようである(ハンギョレ/2018年2月8日)。米軍慰安婦国家賠償訴訟については、関連エントリ 2017-03-20 も参照。

  • 日本統治時代も解消に取り組んでいたとはおもうが、鄭長官(アンダーライン追加は当方)、

    韓国[the Republic of Korea]は女性に対する差別解消のために100年間取り組んで来ており、

    「ちょっと言ってる意味がわからない」(笑)。

    […]今日でも南北を問わず朝鮮文化の重要な特徴として残っている。同様に、女性の地位は、伝統的な男女差別主義による悪影響をいまだに受けている。

    というのは2014年の COlDPRK(朝鮮民主主義人民共和国における人権に関する調査委員会)の診断(関連エントリ 2014-02-07 参照)。

  • なお未抽出だが林陽子委員が、114位の日本も引き合いに出して世界経済フォーラムの「世界ジェンダーギャップ指数ランキング」(2017年11月27日公開)に言及している。韓国は144か国中118位(下記リンク先参照)。

  • 市民社会組織からの情報」が12件寄せられているが、挺対協が2件(発行:2018年1月29日、追加情報同2月1日)、歴史の真実を求める世界連合会も GAHT-US(同1月26日)と GAHT ブラジル(同1月31日)が報告を提出した。下記掲載の国連人権高等弁務官事務所ホームページの「報告状況」リンク先参照。

  • (外務省ホームページ)

  • 国連人権高等弁務官事務所ホームページ)

    「 OHCHR | 女子差別撤廃委員会」(英語

    • 「メンバー」(「委員会」)

    • 「セッション」(「会議および期限」)

      第69回セッション(2018年2月19日 - 2018年3月9日)」

      韓国 2018年2月22日(木)AM 、2018年2月22日(木)PM

    「 OHCHR | 韓国ホームページ」(英語

    • 「報告状況」

      「CEDAW - 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」

  • ( UN Web TV の映像より)

  • (各社報道より)

    共同通信(2018年2月23日)

    朝日新聞(2018年2月23日)

    産経ニュース(2018年2月23日)

    聯合ニュース(2018年2月23日)

    ハンギョレ(2018年3月2日)

  • 世界経済フォーラムホームページ

    「世界ジェンダーギャップ指数ランキング」(2017年)

  • 関連エントリ

     (韓国の「慰安婦合意検討タスクフォース」報告書)

     (米軍慰安婦国家賠償訴訟)
    朝鮮半島における「伝統的な」女性の地位)(翌週の人権理事会、康(カン)外交部長官による基調演説)

掲載URL:


COMMITTEE ON THE ELIMINATION OF DISCRIMINATION AGAINST WOMEN CONSIDERS THE REPORT OF THE REPUBLIC OF KOREA
女子差別撤廃委員会、韓国の報告を検討

22 February 2018
2018年2月22日

The Committee on the Elimination of Discrimination against Women today considered the eighth periodic report of the Republic of Korea on how it implements the provisions of the Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women.
女子差別撤廃委員会は本日、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の規定をどう履行しているかについての韓国の第八回定期報告を検討した。

[…]

Report
報告

The Committee is considering the eighth periodic report of the Republic of Korea (CEDAW/C/KOR/8).
委員会は、韓国の第八回定期報告(CEDAW/C/KOR/8)を検討している。

[…]

Questions from the Experts
専門家からの質問

[…]

What were the tangible outcomes of the first national action plan on women, peace and security, how the issue of the so-called comfort women was included in the second plan, and how the Government and civil society worked together on the ground?
女性、平和と安全に関する第一次国家行動計画の具体的な成果は何か、第二次計画において、いわゆる慰安婦問題はどう含まれていたのか、そして政府と市民社会は現場でどのようにして協力したのか?。

[…]

Responses by the Delegation
代表団による回答

[…]

The participation of civil society organizations in the implementation of the national action plan on the United Nations Security Council resolution 1325 on women, peace and security was currently insufficient.
女性、平和と安全に関する国連安全保障理事会決議1325に関する国家行動計画の実施における市民社会組織の参加は、これまでのところ不十分だった。

Questions from the Experts
専門家からの質問

[…]

It seemed that the State party had significant difficulties in implementing its anti-trafficking legislation, particularly where it concerned women defecting from the Democratic People’s Republic of Korea, foreign domestic workers, and marriage with foreigners. What steps would be taken to improve the support and identification of victims of trafficking in persons?
締約国は、とくに、女性が北朝鮮からの亡命、外国人家事労働者および外国人との結婚に関係している場合、人身売買防止法を施行する上で大きな困難を抱えているようだった。人身売買の被害者の、支援と特定を改善するためにどのような措置がとられるのか?

Decriminalization of prostitution was a step in the right direction, but prostitutes continued to be punished and exploited. What measures were in place to punish the perpetrators of violence and exploitation of women in prostitution, reduce the demand and provide options to women who wished to exit prostitution?
売春の非刑罰化は正しい方向への一歩だったが、売春婦は引き続き処罰され、悪用された。売春女性の暴力や搾取の加害者を処罰し、需要を減らし、売春をやめようとしている女性にオプションを提供するために、どのような措置を実施したか?

The issue of comfort women remained unresolved. The former Government had exempted the legal agreement made with the Government of Japan, which denied the victims’ right to truth, justice and reparation and neglected their views. The Republic of Korea had an obligation to provide full redress, offer an apology, and ensure access to rehabilitation services to victims.
慰安婦問題は未解決のまま残った。前政府は、被害者の真実、正義および賠償に対する権利を否定し彼らの見解を無視した、日本政府と結んだ法的合意を免れていた。韓国は、全面的な救済、謝罪および被害者へのリハビリ・サービスへのアクセスを確保する義務があった。

[…]

Responses by the Delegation
代表団による回答

[…]

The issue of “North Korea” migrant women was a very painful one, said a delegate and stressed the obligation of the Republic of Korea to extend the protection and support to “North Korean” women victims of trafficking in persons.
北朝鮮」移住女性の問題は悲痛なものだったと代表者は述べ、韓国が人身売買の被害者である「北朝鮮」女性への保護と支援を拡大する義務を強調した。

[…]

The President of the Republic of Korea had stated that the agreement on the comfort women had not been victims-based and a delegate reiterated the country’s commitment to continue to address the issue through adequate policies.
韓国大統領は、慰安婦に関する合意は被害者ベースではなかったと表明し、代表は、適切な政策を通じ引き続き問題に対応するという同国のコミットメントを再確認した。

[…]

Concluding Remarks
結語

HYUN-BACK CHUNG, Minister of Gender Equality and Family, said that the Republic of Korea had been working for one hundred years to eliminate discrimination against women and it had a long way to go to achieve gender equality and overcome the remaining difficulties and challenges. The Republic of Korea would do its utmost to implement international gender equality standards and stressed the importance of international cooperation, including with the Committee, to this end.
鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)女性家族部長官は、韓国は女性に対する差別解消のために100年間取り組んで来ており、ジェンダー平等を達成し残る困難と課題を乗り越えるためには長い道のりがあったと語った。韓国は国際的なジェンダー平等基準を履行するために最大限努力し、この目的に向けて、委員会を含む国際協力の重要性を強調した。

DALIA LEINARTE, Committee Chairperson, commended the Republic of Korea for its efforts and encouraged it to address various recommendations, which the Committee would issue with the purpose of a more comprehensive implementation of the Convention throughout the State party.
ダリア・ライナルテ委員長は、韓国の取り組みを賞賛し、委員会が締約国全体で条約をより包括的に履行する目的で発行するさまざまな提言に取り組むよう奨励した。



United Nations

CEDAW/C/SR.1576

Convention on the Elimination
of All Forms of Discrimination
against Women

Distr.: General
28 February 2018

Original: English

Committee on the Elimination of Discrimination against Women
Sixty-ninth session

Summary record of the 1576th meeting
Held at the Palais des Nations, Geneva, on Thursday, 22 February 2018, at 10 a.m.

Chair. Ms. Leinarte

Contents
Consideration of reports submitted by States parties under article 18 of the Convention
(continued)

Eighth periodic report of the Republic of Korea

 

This record is subject to correction. Corrections should be set forth in a memorandum and also incorporated in a copy of the record. They should be sent within one week of the date of the present record to the Documents Management Section (DMS-DCM@un.org).

Any corrected records of the public meetings of the Committee at this session will be reissued for technical reasons after the end of the session.

国連

CEDAW/C/SR.1576

女子に対する
あらゆる形態の差別の
撤廃に関する条約

分類:一般
2018年2月28日

原版:英語

女子差別撤廃委員会
第六十九回セッション

第1576回会議要約記録

2018年2月22日(木)10:00AM、於ジュネーブ、パレ・デ・ナシオンにて開催

議長: ライナルテ氏

内容
条約第18条に基づき締約国により提出された報告書の審査
(続き)

韓国の第八回定期報告

 

この記録は訂正の対象となります。訂正は覚書に記載され、記録の写しにも含まれなければならない。現在の記録の日付から1週間以内に文書管理課(DMS-DCM@un.org)に送付する必要があります。

このセッションにおける委員会の公開会議の任意の修正記録は、セッション終了後に技術的理由により再発行される。

[…]

Articles 1 to 6
1から6条

[…]

Ms. Rana, referring to the State party’s second national action plan for the implementation of Security Council resolution 1325 (2000) on women and peace and security, said that she would welcome information on the results of the first national action plan and how they had shaped the latest version. She wished to know to what extent civil society was involved in implementing those plans, what legal and institutional measures, including budget allocation and monitoring mechanisms, were in place to support implementation and what proportion of women participated in the numerous peace negotiations that took place in the State party. Regarding “comfort women”, who had been forced into sexual slavery during the Second World War, she wondered what had been the outcome of a 2017 review of the related 2015 agreement between the Republic of Korea and Japan and of the activities of the Reconciliation and Healing Foundation and what steps had been taken to hear from the victims and ensure their right to redress.
ラナ氏は、女性、平和と安全に関する安保理決議1325(2000年)の実施に関する締約国の第二次国家行動計画に言及して、第一次国家行動計画の成果の情報を歓迎し、その最新バージョンをどのようにかたちづくったのかと述べた。彼女は、市民社会がこれらの計画の実施にどの程度関わっていたのか、実施を支援するために、予算配分やモニタリングのしくみを含む法的・制度的措置がどのように整備されたのか、および締約国で行われた数多くの平和交渉にどの割合の女性が参加したのか知ることを求めた。第二次世界大戦中に性的奴隷制度に強制された「慰安婦」に関して、2015年日韓合意に関連する2017年見直しおよび和解・癒し財団の活動の成果は何か、ならびに被害者からの声を聞き、救済の権利を確保するために何の措置がとられていたのかを確認した。

[…]

Ms. Chung Hyun-back (Republic of Korea)[…]
鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)氏(韓国)は[…]

The new Government recognized the importance of supporting surviving victims of sexual slavery by the Japanese Imperial Army, who had been known as “comfort women”. The maintenance paid to them had recently been increased substantially, and they were provided with rental accommodation and free medical care. The Government was preparing a project to document the plight of the “comfort women”, enable surviving victims to make their voices heard and raise awareness of their experiences among young people. It also planned to establish an institute dedicated to their experiences. The surviving victims themselves would be consulted throughout the project. The first victim to have come forward, Kim Hak-sun, had done so on 14 August 1991, and all victims of sexual slavery by the Japanese Imperial Army had since been commemorated annually on that day.
新政府は、「慰安婦」として知られていた日本帝国軍による性的奴隷制度の生き残った被害者を支援することの重要性を認識した。維持費支払いが最近大幅に増加され、賃貸住宅と無料の医療が提供された。政府は、生き残った被害者の声を聞かせ、若者のあいだで彼女たちの経験への認識を高めることを可能にする「慰安婦」の窮状の文書化プロジェクトを準備していた。また、彼女たちの経験に捧げられた研究所を設立することを計画していた。生き残った被害者自身がプロジェクト全体を通して助言を求められる。名乗り出た最初の被害者、金学順(キム・ハクスン)は1991年8月14日にそれを行ない、その日に日本帝国軍による性的奴隷制度の被害者全員が毎年たたえられていた。

[…]

Ms. Hofmeister[…]
ホフマイスター氏は[…]

With regard to the situation of the former “comfort women”, the resolution reached in the 2015 bilateral agreement between the State party and Japan did not seem “final and irreversible”, as had been claimed. Indeed, it did not constitute a victim-centred approach and denied victims’ rights to truth, justice and reparation. In that connection, she wondered what efforts had been made to improve the situation of the surviving “comfort women” and ensure that they were respected in society and what measures were planned to support those women and the families of deceased victims.
元「慰安婦」の状況に関して、締約国と日本のあいだの2015年の二国間合意において到達した解決は、主張されているような「最終的かつ不可逆的」ではないように見えた。実際、被害者中心のアプローチとならず、被害者の真実、正義および賠償に対する権利を否定した。それに関連して彼女は、生き残った「慰安婦」の状況を改善し、社会において尊敬されることを確保するための何の努力が払われ、それらの女性や死亡した被害者の家族を支援する何の措置が計画されたのかを確認した。

[…]

Ms. Chung Hyun-back (Republic of Korea) she said that the recent increase in the number of cases of domestic violence was due to the increased police response rate and to a greater social awareness of the crime. With regard to the 2015 bilateral agreement signed between Japan and the Republic of Korea, the President had made clear that the disagreement between the two countries did not concern the decision to adopt a victim-centred approach. The victims would continue to be consulted on any issues that concerned them.
鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)氏(韓国)は、家庭内暴力の件数の最近の増加が、警察の対応率の向上と犯罪に対する社会的意識の拡大によるものだと述べた。日本韓国のあいだで締結された2015年の二国間合意に関しては、大統領は、両国間の意見の相違が、被害者中心のアプローチを採用するという決定に重きを置かなかったと明確にしていた。被害者には関係するあらゆる問題についての助言が続けられる。


2018年02月25日
2018年03月04日(「要約記録」、ハンギョレの報道追加)

*1:今回の「外務報道官談話」には(日本/英語両サイトに英語版含む)「ファクトシート」が付けられているが、現状を鑑みればしょぼい内容(外務省ホームページへのリンク先参照)。