dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第60回拷問禁止委員会:韓国の第三 - 五回報告に関する総括所見における「日韓合意」(慰安婦問題)再交渉の勧告


文書番号:CAT/C/KOR/CO/3-5

ノート:

  • 国連拷問禁止委員会第60回セッションにおける、韓国の第三回 - 五回連結定期報告に関する総括所見(最終見解)より、関連するパラグラフ(と参考にそのほかの各見出しなど)を訳出。
  • なお、当該総括所見の “ADVANCE UNEDITED VERSION(先行未編集版)”(PDF)と、訳出した “Reissued for technical reasons on 14 June 2017(技術的な理由で2017年6月14日再発行)” 版では、文言に多少の異同がある。
  • この定期報告においては、もともと慰安婦問題には言及されていなかったのだが、(「日韓合意」に危機感を強めた?)NGOからのプッシュ(報告)を受け、再交渉の勧告となったようだ(下記関連エントリ参照)。日本政府が事実関係に関する反論を始めたとはいえ、国連各機関の認識はクマラスワミ報告/マクドゥーガル報告のままであろうから、それらしい「情報」が寄せられれば何らかの勧告が出るのは当然の流れだとも言える。ここで、合意への「懸念」に到る背景についての具体的な(「犠牲者」への人権侵害についての)説明が一切無いのも、クマラスワミ報告/マクドゥーガル報告などの内容で自明としていると理解できる。
  • なお、「日韓合意」に関する「勧告」は、セウォル号事件そのほかを含む「拷問や虐待の被害者のための救済」の一部である。次回定期報告に引き継がれるが、2018年5月12日のフォローアップ報告での進捗報告の対象には指定されていない(パラグラフ49)。
  • 今後韓国は、形式的にでも再交渉を提起して「過去を反省しない」日本が拒否したと報告すればよい。日本側は、「被害者」も減っていき、「不可逆的に解決した」とだけ説明して相手にしないというのもあるが、反論しないのは認めたことになるということぐらいは学んだ筈である。
  • 今回の日本政府の反論では、「日韓合意」への「犠牲者」による評価や、国連事務総長(当時)やニューヨーク・タイムズなどを引き合いに「国際社会が歓迎」との指摘を追加し、「性奴隷」という用語は「日韓合意」でも使われていないとしているが、「20万人説」や「吉田証言」などへの日本の「真実に対する権利」による主張は引っ込めている(下記、日本政府の反論(外務省ホームページ)参照)。
  • 韓国の「国民情緒<法>」についての指摘は無いようだ(笑)。政府報告にあった真実和解委員会の、「反日独立運動」の「犠牲者」への補償等はともかく(「犠牲者」の実態や、実際に補償等が行なわれたのかも知らないが)、日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法などの人権侵害を提起する、ニューライト系(?)のNGOは無いのか(無いでしょうねぇ)。韓国は売春の輸出大国との指摘も見かけるのだが、人身売買に関する「懸念」も委員会には無いようだ。
  • 「勧告」が依拠している「拷問禁止委員会一般的見解第3番」 CAT/C/GC/3
    国連公式文書システム)。
  • 日本政府の反論(外務省ホームページ)
    外交政策」 > 「日本の安全保障と国際社会の平和と安定」 > 「人権・人道・難民」 > 「人権外交」 > 「拷問等禁止条約
    2017年5月12日対韓国審査最終見解に関する日本政府意見(仮訳(PDF)/英語正文(PDF)/付属文書(PDF))
  • 国連人権高等弁務官事務所ホームページ)
    • 拷問禁止員会「メンバー」
    • 「CAT - 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約」

      "HUMAN RIGHTS BODIES (ALL HUMAN RIGHTS BODIES)" > "Committee against Torture (CAT) " > "Sessions" > "60"

      第60回セッション(2017年4月18日 - 2017年5月12日)
      韓国 2017年5月2日(火)AM、2017年5月3日(水)PM

    • 「韓国の報告状況」

      "HUMAN RIGHTS BY COUNTRY (See all countries)" > "Republic of Korea (17-09-1991)

      CAT - 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約

    以下上記二つのウェブページより抜粋(:韓国の報告状況、:拷問禁止委員会第60回セッションページ側にアップされている)。ハイフン以下に適宜補足を記した。

    日本からのコメント付属書(2017年5月22日提出)(PDF)-「(翻訳)総理大臣から元慰安婦への手紙」(関連エントリ参照)

    日本からのコメント(PDF)-(日付不明、ファイルプロパティ更新日2017年5月19日)「5月12日発行の韓国の第三 - 五回定期報告に関する総括所見(CAT/C/KOR/CO/3-5)についての日本政府によるコメント」(関連エントリ参照)

    総括所見:CAT/C/KOR/CO/3-5(2017年5月11日提出、2017年5月30日登録)- 本抄訳ドキュメント

    締約国からの追加情報:締約国の文書回答(PDF) -(日付不明、ファイルプロパティ更新日2017年5月5日)「拷問禁止委員会による締約国報告書のレビューへの韓国代表団の文書回答」(関連エントリ参照)

    要約記録:CAT/C/SR.1527(Word)-(2017年5月30日)「拷問禁止委員会第60回セッション1527回会議要約」(2017年5月3日PM)(関連エントリ参照)

    要約記録:CAT/C/SR.1524(Word)-(2017年5月10日)「拷問禁止委員会第60回セッション1524回会議要約」(2017年5月2日AM)(関連エントリ参照)

    代表団参加者のリスト:代表団のリスト(Word

    NHRIからの(セッションのための)情報:韓国国家人権委員会(NHRCK)の独立報告書(2017年3月27日発行)(Word)-「拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約に基づく韓国提出第三 - 五回報告の審査のための韓国国家人権委員会の独立報告」

    市民社会組織からの(セッションのための)情報:64の非政府組織による提出(Word)-(2017年3月20日)「拷問および他の残虐な、非人道的なまたはは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約に関する韓国NGOレポート」(関連エントリ参照)

    市民社会組織からの(セッションのための)情報:性的マイノリティ差別に対するレインボーアクション/シャドーレポート(PDF) -(2017年3月)「韓国における性的指向ジェンダーアイデンティティHIV感染状況に基づく人権侵害」

    市民社会組織からの(セッションのための)情報:子どものあらゆる体罰に終止符を・グローバルイニシアチブ(Word) -(2017年2月)「拷問禁止委員会2017年5月/6月第60回セッションへの韓国に関する説明」

    (共通)コアドキュメント(PDF)-(2016年4月12日)「締約国の報告書の一部を構成する共通のコアドキュメント」

    締約国報告書の附属書(2016年3月3日発行)(Word

    締約国の報告:CAT/C/KOR/3-5(2012年2月7日期限、2016年2月29日提出、2016年4月10日発行:ドキュメント上の記載は4月11日)(関連エントリ参照)

    報告前の課題リスト(LoIPR):CAT/C/KOR/Q/3-5(2011年2月16日発行)(PDF)- 「韓国の第三 - 五回連結定期報告の提出前課題のリスト」

  • (メディアの報道)
    • 「見直し勧告」について
      NHKニュース(2017年5月13日) 朝日新聞(同上)産経ニュース(同上)
    • 日本政府の対応
      日本経済新聞(2017年5月17日)

      産経ニュース(2017年5月23日)

  • 関連エントリ

掲載URL:

http://tbinternet.ohchr.org/Treaties/CAT/Shared%20Documents/KOR/CAT_C_SR-1524_26023_E.docx


United Nations

CAT/C/KOR/CO/3-5*

Convention against Torture
and Other Cruel, Inhuman
or Degrading Treatment
or Punishment

Distr.: General
30 May 2017

Original: English

Committee against Torture

Concluding observations on the combined third to fifth periodic reports of the Republic of Korea**

国連

CAT/C/KOR/CO/3-5*

拷問
および他の残虐な、非人道的な
または品位を傷つける取り扱い
または刑罰に関する条約

分類:一般
2017年5月30日

原版:英語

拷問禁止委員会

韓国の第三 - 第五回連結定期報告に関する総括所見**

 * Reissued for technical reasons on 14 June 2017.
 * 技術的な理由で2017年6月14日再発行。

** Adopted by the Committee at its sixtieth session (18 April-12 May 2017).
** 委員会によって第六十回セッション(2017年4月18日 - 5月12日)に提出された。

1. The Committee against Torture considered the combined third to fifth periodic reports of the Republic of Korea (CAT/C/KOR/3-5) at its 1524th and 1527th meetings (see CAT/C/SR.1524 and 1527), held on 2 and 3 May 2017, and adopted the present concluding observations at its 1538th and 1539th meetings, held on 11 May 2017.
1. 拷問禁止委員会は、 2017年5月2日と3日に開催された第1524回と第1527回会議(CAT/C/SR.1524および1527参照)において韓国の第三 - 五回定期報告(CAT/C/KOR/3-5)を審査し、2017年5月11日に開催された第1538回と第1539回会議で今回の総括所見を採択した。

A. Introduction
A. 序文

2. The Committee regrets the late submission, in 2016, of the combined third to fifth periodic reports, which made them four years overdue. The Committee appreciates having had the opportunity to engage in a constructive dialogue with the State party’s delegation and the oral and written responses provided to the questions and concerns raised during its consideration of the report.
2. 委員会は、四年遅延して2016年となった第三 - 五回連結定期報告の提出遅れが遺憾である。委員会は、締約国の代表団と建設的な対話を行う機会を得たこと、および報告書の審査中に提起された質問および懸念に対して提供された口頭および書面による回答を高く評価する。

B. Positive aspects
B. 肯定的側面

[…]

C. Principal subjects of concern and recommendations
C. 主な懸念事項および勧告

Pending follow-up issues from the previous reporting cycle
以前の報告回からの未決フォローアップ課題

[…]

Definition of torture
拷問の定義

[…]

Statute of limitations for acts of torture
拷問行為の制限条項

[…]

Fundamental legal safeguards
基本的な法的保護手段

[…]

National Security Act
国家安全保障法

[…]

Independent complaints mechanism
独立した苦情処理制度

[…]

Conditions of detention
拘留の条件

[…]

Solitary confinement
独房監禁

[…]

“Substitute cells” in police stations
警察署の「代用監房」

Deaths in custody
収監中の死亡

[…]

Death penalty
死刑

[…]

Corporal punishment against children
子供に対する体罰

[…]

Abuses in the military
軍における虐待

[…]

Violence against women, including domestic and sexual violence
家庭内および性暴力を含む女性に対する暴力

[…]

Violence against migrant workers
移住労働者に対する暴力

[…]

Asylum seekers and migrants
亡命希望者と移民

[…]

National human rights institution
国家人権機関

[…]

Training
訓練

[…]

Redress for victims of torture and ill-treatment
拷問や虐待の被害者のための救済

47. The Committee:
(a) While welcoming the agreement reached at the meeting of Ministers for Foreign Affairs of Japan and the Republic of Korea held on 28 December 2015 and taking note that 38 victims of sexual slavery during the Second World War are still alive, is concerned that the agreement does not comply fully with the scope and content of its general comment No. 3 and that it fails to provide redress and reparation (including compensation and the means for as full a rehabilitation as possible) or to ensure the right to truth and assurances of non-repetition;
(b) Is concerned that victims of excessive use of force by law enforcement officials, such as persons participating in peaceful rallies, may not enjoy the right to redress, including compensation and rehabilitation for injuries sustained during the rallies and ill-treatment treatment suffered during and after arrest;
(c) Is also concerned at the dissolution of the Sewol Ferry Special Investigation Committee and the absence of compensation to the families of victims of more than 300 persons from the Sewol Ferry;
(d) Is further concerned at the absence of information concerning the compensation lawsuit filed on 22 March 2016 by the family of Mr. Baek, who died of injuries (arts. 2, 12-14 and 16).
47. 委員会は、
(a)2015年12月28日に開催された日本韓国外務大臣会議における合意を歓迎するものの、第二次世界大戦中の性奴隷制度の犠牲者38人がまだ生存していることに留意して、合意は、一般的見解第3番の範囲と内容に完全には従っておらず、(補償とできるだけ完全な社会復帰のための手段を含む)救済と賠償の提供や、真実に対する権利と再発防止の確実性の確保ができていないことが懸念され、
(b)平和的集会に参加する人々のような、法執行当局による過度の強制力の犠牲者が、集会中に受けた傷害や、逮捕中や後に受けた虐待の治療のための補償およびリハビリを含む救済の権利を享受できない可能性が懸念され、
(c)セウォル号特別調査委員会の解散と、セウォル号からの300人以上の被害者の家族への補償が無いことについても懸念され、
(d)さらには、傷害で死亡したペク氏の家族によって2016年3月22日に提起された賠償訴訟に関する情報がないことが懸念される(2、12 - 14および16条)。

48. The State party should:
(a) Ensure that all victims of violations of the Convention obtain redress, including rehabilitation, and have an enforceable right to fair and adequate compensation, including the means for as full a rehabilitation as possible, by formulating a detailed rehabilitation programme. The Committee draws the attention of the State party to general comment No. 3, in which the Committee explains the content and scope of the obligations of States parties to provide full redress to victims of torture and recommends amending the domestic legislation accordingly;
(b) Ensure that the above-mentioned rehabilitation programme offers specialized rehabilitation services that are appropriate, available and promptly accessible, in accordance with general comment No. 3, and that access is not conditional on the filing of formal administrative or criminal complaints;
(c) Establish a programme for monitoring and evaluating the impact of the rehabilitation programme and collect data on the number of victims and their specific rehabilitation needs;
(d) Revise the agreement of 28 December 2015 between Japan and the Republic of Korea in order to ensure that the surviving victims of sexual slavery during the Second World War are provided with redress, including the right to compensation and rehabilitation, and that they are guaranteed the right to truth, reparation and assurances of non-repetition, in keeping with article 14 of the Convention;
(e) Provide the Committee with information on redress, including the right to compensation and rehabilitation, provided to the families of the victims of the Sewol Ferry accident, the family of Mr. Baek and any other victims of violations of the Convention.
48. 締約国は、
(a)条約違反の被害者全員が、社会復帰を含む救済を得て、詳細な社会復帰プログラムを策定することによる、可能な限り完全な社会復帰手段を含む、公正かつ適切な補償を受ける権利を有することを確実にする。委員会は、拷問の犠牲者への完全な救済を提供するために委員会が締約国の義務の内容と範囲を説明する一般的見解第3番に締約国の注意を喚起し、それに応じて国内法を改正することを勧告し、
(b)上記の社会復帰プログラムが、一般的見解第3番に基づき、適切で利用可能で迅速にアクセス可能な特別な社会復帰サービスを提供し、アクセスには正式な行政や刑事告訴の提出による条件がないことを確実にし、
(c)社会復帰プログラムの影響を監視および評価するためのプログラムを確立し、被害者の数および社会復帰の具体的なニーズに関するデータを収集し、
(d)第二次世界大戦中の性奴隷制度の生き残った被害者に補償および社会復帰の権利を含む救済措置が提供され、条約第14条に照らして真実に対する権利、賠償、および再発防止の確実性が保証されることを確保するために、2015年12月28日の日本韓国のあいだの合意を改正し、
(e)セウォル号事故の被害者の家族、ペク氏の家族、およびその他の条約違反の犠牲者に提供された補償および社会復帰の権利を含む、救済に関する情報を委員会に提供する。

Follow-up procedure
フォローアップ手続き

49. The Committee requests the State party to provide, by 12 May 2018, information on follow-up to the Committee’s recommendations on the outcome of investigations by the Prosecutor’s Office and the National Police Agency in relation to the death of Mr. Baek, on the outcome of any proceedings in relation to the Sewol Ferry accident, on the closing of remaining “substitute cells” and on the establishment of the office of the military ombudsman (see paras. 14 (d) and (e), 26 and 36 (b)). In that context, the State party is invited to inform the Committee about its plans for implementing, within the coming reporting period, some or all of the remaining recommendations in the concluding observations.
委員会は、ペク氏の死亡関連、セウォル号事故に関連するあらゆる手続の結果、残った「代用監房」の閉鎖、および軍事オンブズマン事務所の設立に関する、検察庁警察庁の調査結果に関する委員会の勧告へのフォローアップに関する情報を、2018年5月12日までに提出するよう締約国に要請する(パラグラフ14(d)および(e)、26および36(b)を参照)。そうした状況において、締約国は、今後の報告期間内に、総括所見における残りの勧告の一部またはすべてを実施するための計画について委員会に通知するよう求められる。

Other issues
その他の課題

50. The Committee invites the State party to ratify the core United Nations human rights treaties to which it is not yet party.
50. 委員会は、まだ締約国ではない国連人権条約の核を批准するよう締約国に求める。

51. The State party is requested to disseminate widely the report submitted to the Committee and the present concluding observations, in appropriate languages, through official websites, the media and non-governmental organizations.
51. 締約国は、委員会に提出された報告書および現在の総括所見を公式ウェブサイト、メディアおよび非政府組織を通じて、適切な言語で広範に普及させることが要請される。

52. The State party is invited to submit its next periodic report, which will be the sixth, by 12 May 2021. For that purpose, and in view of the fact that the State party has agreed to report to the Committee under the simplified reporting procedure, the Committee will, in due course, submit to the State party a list of issues prior to reporting. The State party’s replies to that list of issues will constitute its sixth periodic report under article 19 of the Convention.
52. 締約国は、2021年5月12日までに、第6回目となる次回定期報告書を提出するよう求められる。その目的のため、および、締約国が簡易化報告に基づき委員会に報告することに合意したという事実にかんがみて、委員会は、適時、報告前に課題リストを締約国に提出する。その課題リストへの締約国の回答は、条約第19条に基づく第6回定期報告書を構成することになる。 


2017年8月13日