dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

第116回自由権規約委員会:日本(第六回)を含む総括所見および見解へのフォローアップを議論


文書番号:CT16/012E

ノート:

  • 国連ジュネーブ事務局ホームページ「プレスリリースと会議要約(Press Releases & Meeting Summaries)」から抄訳。

  • 慰安婦問題」
    自由権規約委員会においては、第六回報告への総括所見(最終見解)CCPR/C/JPN/CO/6(下記、外務省ホームページのリンク先「自由権規約委員会の最終見解」参照)に対する日本政府コメントより、2014年8月 - 9月の朝日新聞の訂正などを引いて事実関係に対する反論を行なうようになったが(同上「最終見解に対する日本政府コメント」(2015年8月)パラグラフ26参照)、今回討議された委員会のフォローアップ報告においてこれらが考慮された形跡は見受けられず、「日韓合意」において「重大な責任と支払いを認め、公的な謝罪を含む意義ある前進を行なったこと」が「留意」された(評価「B2」、同上「日本政府コメントに対する自由権規約委員会の分析評価報告書(2016年4月)」参照)。

    ちなみに上記の日本政府コメントであるが、事実関係への反論は行なっているが、総括所見で示された懸念事項に直接回答しているとは言い難い。下記は「懸念事項」の元になったとおもわれる報告審査におけるナイジェル・ロドリー議長の発言。

    「意見の対立があるようであるが私には理解ができない。私の頭が悪いのだろうか。『強制連行されたのではない』といいつつ,『意図に反した』という認識が示されている。これは,理解しにくい。性奴隷である疑念があるなら,日本政府はなぜこの問題を国際的な審査によって明確化しないのか。」 —— 日弁連パンフレット「第6回政府報告書審査をふまえて『自由権規約委員会は日本政府にどのような改善を求めているのか』 」 p. 26 「1 かみしめるべきナイジェル・ロドリー議長の最終発言」(下記、日弁連ホームページよりのリンク先参照)

    なお、当委員会においては、第五回報告への事前質問(2008年5月)問21で慰安婦問題が取り上げられ「審査」が続いている(同上<第五回定期報告>「自由権規約委員会の事前質問に対する政府回答」参照))。

    問21.1945年以前に旧日本軍政の下で行われた従軍性的奴隷制度である「慰安婦」に対する法的責任を締約国が負うことを考えているか否か。また、まだ生存している加害者の調査及び訴追、この問題に関する一般国民に対する教育、及びアジア女性基金(1995-2007)によってカバーされなかった国を含め  、被害者への適切な賠償を行うつもりがあるのかを示されたい。
  • (外務省ホームページ)

    外交政策」 > 「日本の安全保障と国際社会の平和と安定」 > 「人権・人道・難民」 > 「人権外交」 > 「国際人権規約3 自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)

    <第六回定期報告>

    日本政府コメントに対する自由権規約委員会の分析評価報告書(2016年4月)(仮訳(PDF)英語正文(PDF)

    最終見解に対する日本政府コメント(2016年3月)(仮訳(PDF)英語正文(PDF)

    最終見解に対する日本政府コメント(2015年8月)(仮訳(PDF)英語正文(PDF)

    自由権規約委員会の最終見解:CCPR/C/JPN/CO/6(2014年7月24日[ホームページの記載による。文書上の日付は2014年8月20日])(仮訳(PDF)英語正文(PDF)

    自由権規約委員会の事前質問に対する政府回答:CCPR/C/JPN/Q/6/Add.1(PDF

    市民的及び政治的権利に関する国際規約第40条(b)に基づく第6回報告:CCPR/C/JPN/6(2012年4月)(PDF)[英語正文(PDF)

    <第五回定期報告>

    最終見解に対する日本政府コメント(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    自由権規約委員会の最終見解:CCPR/C/JPN/CO/5(2008年10月30日)(仮訳(PDF)/英語正文(PDF))

    自由権規約委員会の事前質問に対する政府回答(PDF

    市民的及び政治的権利に関する国際規約第40条(b)に基づく第5回報告(2006年12月)(PDF)[英語正文(PDF)]

    ※[]は同ホームページ英語版のリンクより( "Foreign Policy" > "Japan's Security / Peace & Stability of the International Community" > "Human Rights, Humanitarian Assistance,Refugees" > "International Covenant on Civil and Political Rights" )。

  • 日弁連ホームページより)

    パンフレット 第6回政府報告書審査をふまえて「自由権規約委員会は日本政府にどのような改善を求めているのか」(PDF

    政府報告書に関する日弁連報告書(2014年3月)日本語(PDF

    政府報告書に関する日弁連報告書及び添付資料(2013年5月)日本語(PDF

  • 下記も参照。

掲載URL:

https://www.unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/83CF2811712D6AB8C1257F7D004AB576?OpenDocument


HUMAN RIGHTS COMMITTEE DISCUSSES FOLLOW-UP TO CONCLUDING OBSERVATIONS AND TO VIEWS
自由権規約委員会、総括所見および見解へのフォローアップを議論

21 March 2016
2016年3月21日

The Human Rights Committee this morning discussed a progress report by the Special Rapporteur on Follow-up to Concluding Observations and a progress report by the Special Rapporteur on Follow-up to Views.
今朝の人権委員会は、総括所見へのフォローアップに関する特別報告者による進捗報告と、見解へのフォローアップに関する特別報告者による進捗報告について議論した。

[…]

SARAH CLEVELAND, Committee Member and Special Rapporteur on Follow-up to Concluding Observations, briefed the Committee on the follow-up procedures with the Dominican Republic, Iceland, Djibouti, Mauritania, Japan and Ireland. Before discussing the countries, Ms. Cleveland raised two methodological issues. One issue regarded the grading system, which penalized countries when they responded with an unsatisfactory or late response, but did not penalize countries which had not responded at all. In that respect, a reassessment of the grading system was needed. Another issue was the wording limit, due to the severity of which, the country’s or non-governmental organizations views were not fairly represented. That led to a situation where some Committee members could not assess the response. Ms. Cleveland said that another approach to addressing the length was needed. Another Expert raised the question of why the previous grading needed to be reiterated in the report, as it had already been issued in the previous report. The Expert suggested that the follow-up questions appear without previous grades.
委員および総括所見へのフォローアップに関する特別報告者サラ・クリーヴランドは、ドミニカ共和国アイスランドジブチモーリタニア日本、およびアイルランドとのフォローアップ手続について委員会に説明した。各国の討議の前にクリーヴランド氏は、方法論的問題を二つ提起した。一つ目の問題は、不満足または遅れた回答の国にはペナルティを科したが、まったく回答しなかった国にはペナルティを課さなかった評価制度への考えだった。その点に関し評価制度の見直しが必要だった。別の問題は文字制限で、その厳格さのために、国、または非政府組織の見解が公正に表されていなかった。これは、何人かの委員が回答を評価できない状況を生じさせた。クリーヴランド氏は、長さに対処する別のアプローチが必要だと述べた。別の専門家は、以前の報告書で既に発行されていたとして、前回の評価を報告書に再掲する必要があるのか​​という疑問を提起した。専門家は、フォローアップの質問は過去の評価なしで提示することを提案した。

[…]

With regards to Japan, the Committee noted that the State party had been asked to abolish the death penalty, strengthen legal safeguards against wrongful sentencing to death, and adopt other measures including an independent mechanism to review the health of death row inmates. The State Party had repeated information already provided and had indicated that it did not intend to take measures to implement the recommendations. The Committee thus reiterated its recommendations on those issues. Regarding the “comfort women” issue, the Committee had asked the State party to ensure that all allegations were effectively, independently and impartially investigated and that perpetrators were prosecuted and, if found guilty, punished. Information had been received regarding the agreement between Japan and the Republic of Korea, and the Committee noted that State party had taken significant steps, including a public apology, recognizing significant responsibility and payment for the women victims. The Committee required new information on labor trafficking.
日本に関しては、委員会は、同締約国が死刑を廃止し、死刑への不公正な量刑手続きに対する法的保護を強化し、死刑囚の健康をレビューするための独立したメカニズムを含むその他の措置を採択するよう求められていたことを指摘した。締約国は、既に提供されていた情報を繰り返し、勧告を実施するための措置をとる意図はないことを示していた。委員会は、したがって、これらの問題に関する勧告をあらためて表明した。「慰安婦」問題に関しては、委員会は、すべての申し立てが、効果的に独立して公平に調査され、加害者が起訴され、有罪判決が下された場合、処罰されることを確実にするするよう締約国に求めた。日本韓国のあいだの合意に関する情報が受理され、委員会は、締約国が女性の犠牲者への重大な責任と支払いを認め、公の謝罪を含む意義ある前進を行なったことに留意した。委員会は、労働者の人身売買に関する新しい情報を要請した。

[…]

The two follow-up reports would be incorporated into the Committee’s annual report, which would be adopted at the end of the session and subsequently presented to the United Nations General Assembly.
二つのフォローアップ報告は、委員会の年次報告に組み込まれ、それはセッションの終わりに採択され、その後、国連総会に提出される。


2017年8月7日