dancept1の備忘録

答弁権のエソロジー

挺対協共同議長・代表、尹美香(ユン・ミヒャン)氏と犠牲者の一人、吉元玉(キル・ウォンオク)氏との事務総長会談


文書番号:(なし)

ノート:

  • 国連事務総長United Nations Secretary-General)ホームページ「リードアウト(Readouts)」ならびに、国連会合報道およびプレスリリ-ス(Meetings Coverage and Press Releases)ホームページ「昼のブリーフィング(NOON BRIEFINGS)」より。

    現リンクパス:

    • "United Nations Secretary-General" → "Former Secretaries-General" ("On the Job") → "Ban Ki-moon (Korea)" → "Readouts"
    • "Meetings Coverage and Press Releases" → "Daily Noon Briefing" → "NOON BRIEFINGS"
  • 国連 NGO としての実績があるにせよ「要請」すればすぐに会えるものなのか存じぬが、韓国出身というのを別にしてもかなりのコネクションがあるということだろう。12月の日韓慰安婦合意を受けての挺対協の巻き返し。潘基文(パン・ギムン)事務総長は、両国が合意に達するや即座に歓迎の声明を発表し(下記関連エントリ 2015-12-28 参照)、今回開会中の第三十一回人権理事会の2月29日会合においても合意を評価する声明を発表していた(同 2016-02-29 エントリ)。

    合意に対して肯定的な姿勢を(国連の発表によれば)崩さない事務総長。合意は無効といった言質を取りたい挺対協としては不満な内容だったろうが、「日本により軍事性的奴隷制度に徴用された女性のための韓国協議会」の代表と「犠牲者」のひとりに事務総長が面会したという事実だけでもそれなりの効果は見込めるというところか。

    なお、三日前の3月8日には露払い(?)に元慰安婦李容洙(イ・ヨンス)氏も登場。ニューヨーク国連本部の国連報道協会で記者会見を行ない、いつもの調子で怒りをぶちまけていた模様。

    潘基文が韓国人なのを知っているが、私らに何が起こったのかについて、彼は何か知ってるのか?」と火曜日の会見で彼女は述べた。

    国連事務総長慰安婦と会談。人権高等弁務官、日韓合意は「不十分」」(ジャパンタイムズ、2016年3月12日/AP 電)

    また、ジャパンタイムズ(AP)が報じているように、前日の3月10日ジュネーブでの人権理事会におけるゼイド・ラアド・アル・フセイン人権高等弁務官による年次報告での日韓合意への懸念の表明(関連エントリ 2016-03-10 参照)、さらには四日前の3月7日には女子差別撤廃委員会においても2月16日に審査が行なわれた日本の第七回・第八回合同定期報告に対し合意は「被害者中心のアプローチを十分に取らなかった」とする最終勧告を引きだしていた *1

  • ハンギョレ新聞は下記のように事務総長が「釈明」したと記者発表には無い内容を報道(2016年3月13日)。関連エントリ 2015-12-28 に掲載した記事が言及している韓国国内における政治的立場からしても、ありそうなハナシではある。
  • この会談前後に事務総長報道官事務局によるプレス・ブリーフィングの席上、記者とのやり取りおよび発表があったので、こちらも当該部分を抽出した。

    挺対協代表と元慰安婦との会談について事務総長の日韓合意への姿勢の変化なのかと問いただすというのは、この問題についてかなり詳しいとおもわれるが、どこの記者かは不明。最後に「リー(Lee)」という名前が出てくるが次以降の質問者を指名しているもの。ただしこの日のブリーフィングでリー記者はちょくちょく質問しており、この会談に関するものも氏が行なっていたのかもしれない *2 。残念ながら(?)ドゥジャリク報道官は事務総長の「変化」を否定、会談後の記者発表も、ここでの事前の発言内容ほとんどそのままとなった。

    報道官は事務総長が慰安婦に会うのは初めてなのかは確認するとしていたが、会談後のブリーフィングでは言及していない *3 。この日は会談についての記者との質疑もなかった模様。同氏は「性奴隷」「性的奴隷制度」という言葉は使っていないが、「日本に徴用された(drafted by Japan)」犠牲者としている。

  • 関連エントリ

掲載URL:


11 March 2016 New York
2016年3月11日 ニューヨーク

Readout of the Secretary-General’s meeting with Ms. Yoon Mee-Hyang, Co-Chair and Representative for the Korean Council for the Women Drafted for Military Sexual Slavery by Japan, and Ms. Gil Won-ok, one of the victims
日本により軍事性的奴隷制度に徴用された女性のための韓国協議会(韓国挺身隊問題対策協議会)共同議長・代表、尹美香(ユン・ミヒャン)氏と犠牲者の一人、吉元玉(キル・ウォンオク)氏との事務総長の会合の発表

The Secretary-General met this afternoon with Ms. Gil Won-ok, one of the victims who were drafted by Japan as so-called “comfort women” during the Second World War. This meeting was requested and arranged by Ms. Yoon Mee-Hyang, Co-Chair and Representative for the Korean Council for the Women Drafted for Military Sexual Slavery by Japan.
事務総長は、この午後、第二次世界大戦中のいわゆる「慰安婦」として日本によって徴用された犠牲者のひとり、吉元玉(キル・ウォンオク)氏と会談した。この会合は日本により軍事性的奴隷制度に徴用された女性のための韓国協議会(韓国挺身隊問題対策協議会)尹美香(ユン・ミヒャン)氏の要請により開催された。

After the meeting, the Secretary General said the following:
事務総長は会合後、次のように述べた:

“I share my sympathy with Ms. Gil Won-ok about the suffering and pain that she and other victims have experienced. It is crucial that the voices of victims and survivors are heard.
「彼女と他の犠牲者が経験した苦痛と痛みについて、吉元玉氏に共感している。犠牲者と生存者の声が聞かれることは重要である。

“I hope that the Agreement between Japan and the Republic of Korea on 28 December 2015 will be faithfully implemented under the guidance of human rights principles.
「2015年12月28日の日韓合意が、人権指導原則のもと誠実に実施されることを願っている。

“Once more, I call on all concerned parties to continue the dialogue towards a comprehensive resolution of this issue in line with human rights principles, with the victims at the centre.”
「再度、犠牲者を中心に人権原則に沿って、この問題の包括的な解決に向かって対話を継続するよう関係各国に呼びかけている。」


11 MARCH 2016
2016年3月11日

Daily Press Briefing by the Office of the Spokesperson for the Secretary-General
事務総長報道官事務局による日次プレス・ブリーフィング

The following is a near-verbatim transcript of today’s noon briefing by Stéphane Dujarric, Spokesman for the Secretary-General.
以下は、ステファン・ドゥジャリク事務総長報道官による本日の昼のブリーフィングのほぼ逐語的な写しである。

[…]

**Questions and Answers
**質疑

[…]

Spokesman: Next question?
報道官:次の質問?

Question: Thank you, Stéphane, on issue of a comfort woman, when South Korea and Japan reached an agreement last year, at the end of last year, SG welcomed the agreement. I'm just trying to see if… has there been any changes in his…?
質問:ありがとうございます、ステファン、慰安婦問題についてですが、昨年末に韓国と日本が合意に達したとき、SGは合意を歓迎しました。もし…彼の…に何か変化があったのか知りたいということなのですが?

Spokesman: No, I think the… as you know, the Secretary‑General will be meeting with an organisation that represents the comfort women, including one of the survivors. That meeting will take place in the East Lounge later this afternoon. And I guess, the Secretary‑General, we've said here on his behalf that we hope for the faithful implementation of the agreement that was signed between the Republic of Korea and Japan and that it be guided by the recommendations of human rights mechanism [that] will help such wounds to be healed.
報道官:いいえ、…と思う、ご承知のとおり事務総長は生存者のひとりを含む慰安婦を代表する組織と会う予定です。その会合は、この午後遅くにイーストラウンジで行われる予定です。そして、事務総長は、人権メカニズムの勧告によって導かれた韓国と日本のあいだで締結された合意が忠実に履行され、そのような傷が癒されるのに役立つことを望んでいると、我々はここで、彼に代わって述べたていたかと思う。

Question: Right. So just to clarify, he still welcomes that agreement between…
質問:そうです。それで、明確にしたいということで、彼はまだ…のあいだのの合意を歓迎している…

Spokesman: Yes, exactly. And I think it's very much… He also wants the well‑being and the compassion of the victims to be taken into account. Yes, sir?
報道官:はい、そのとおり。そして、それが非常に…と思う。彼はまた、被害者の幸福と同情を考慮に入れたいと望んでいる。おわかりですか?。

Question: Following up. Will it be the first time for SG to meet the comfort women?
質問:補足で。SGが慰安婦に会うのは初めてですか?

Spokesman: You know, it's a very good question to which I should have been prepared to have an answer to. I don't want to speculate. I will check. Mr. Klein and then Mr. Lee and then we'll go to our guest.
報道官:答えを用意しなければならなかった非常に良い質問ですね。私は推測したくない。確認します。クラインさん、それからリーさんと、そのあと我々はお客のところへ行きます。

[…]


14 MARCH 2016
2016年3月14日

Daily Press Briefing by the Office of the Spokesperson for the Secretary-General
事務総長報道官事務局による日次プレス・ブリーフィング

The following is a near-verbatim transcript of today’s noon briefing by Stéphane Dujarric, Spokesman for the Secretary-General.
以下は、ステファン・ドゥジャリク事務総長報道官による本日の昼のブリーフィングのほぼ逐語的な写しである。

[…]

And also, we issued a readout following the Secretary-General’s meeting on Friday with Ms. Gil Won-ok, one of the victims who were drafted by Japan as so-called “comfort women” during the Second World War. After the meeting, the Secretary-General said that he had shared his sympathy with her about the suffering and pain that she and other victims have experienced, adding that it is crucial that the voices of victims and survivors are heard. Finally, we also issued a statement welcoming the adoption of resolution 2272 (2016) on preventing and combating sexual exploitation and abuse by peacekeepers.
それからまた我々は、第二次世界大戦中いわゆる「慰安婦」として日本に徴用された犠牲者のひとり、吉元玉氏との金曜日の事務総長の会談の後、発表を行なった。会談後、事務総長は、彼女と他の犠牲者が経験した苦痛と痛みについて彼女に共感したと述べ、犠牲者や生存者の声が聞かれることが重要だと付け加えた。最後に我々は、平和維持軍による性的搾取と虐待の防止と撲滅に関する決議2272(2016年)の採択を歓迎する声明も発表した。

[…]


2017年12月13日

*1:この「見解」の相違について、産経ニュースが事務総長報道官のブリーフィングでの発言を報じていた(李氏の会見にも言及)。国連会合およびプレスリリ-ス・ホームページの、ドゥジャリク報道官と記者との当該のやり取りを含む「昼のブリーフィング(2016年3月8日)」。

*2:その中でこのリー記者、前の日の夜セキュリティに追い出されていたようで、ほかにも人はいた標的にされたと感じる、ルールはどうなってる等の質問もしていた。

*3:ハンギョレ新聞は上掲の記事で潘事務総長は初めてと報じている。